エピファネイア産駒の中では“異質”なダノンデサイル 京成杯で生きた血統的な特徴とは
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返る京成杯 【写真】ダノンデサイルのこれまでの軌跡 【Pick Up】ダノンデサイル:1着 母トップデサイルはアメリカ産馬。現役時代に米G1・BCジュヴェナイルフィリーズで2着となりました。社台ファームが輸入し、ここまで3頭の仔がデビューを果たしていますが、ダノンデサイルを含めてすべて2勝以上を挙げています。競走馬としても繁殖牝馬としても優秀です。 父エピファネイアは、わが国の主流血統であるサンデーサイレンス、キングカメハメハと相性が良好で、トップクラスの産駒はこのどちらか、あるいは両方を抱えた馬がほとんどです。要するに国内産の繁殖牝馬の仔が好成績を挙げ、輸入繁殖牝馬の仔はもうひとつ、という傾向が見られます。アメリカ産の母から誕生したダノンデサイルは、これまでのエピファネイア産駒の活躍馬のなかでは異質な存在といえます。 母方にエーピーインディを持つエピファネイア産駒は、勝ち上がり率は高いもののこれといった大物は出ていませんでした。ダノンデサイルの活躍により、このパターンも注目度が増してくるかもしれません。 ダノンデサイルが抱えるエーピーインディや、ロベルトのクロスは、スピードの持続力を強化します。瞬発力が問われる直線の長いコースよりも、本質的には今回のような小回りコースが合っていると思われます。 ◆血統で振り返る日経新春杯 【Pick Up】サトノグランツ:3着 サトノダイヤモンド産駒は、京都芝内回りコースで連対率10.0%、外回りコースで20.8%と、明らかに直線の長い外回りの成績が優れています。サトノグランツ自身、京都外回りの京都新聞杯を勝った経験があります。勝負どころの反応が鈍く、追えば追うほど伸びるタイプなので、坂の下りを利用でき、なおかつ直線の長い京都外回りはベストでしょう。 10着と敗れた菊花賞は、後方を追走し、それでも道中押っつけ通しだったので、コース適性以前に何らかの敗因があったのではないでしょうか。 今回は57.5kgという、4歳馬のなかでは最も重いハンデを背負い3着。2着サヴォーナよりも1.5kg、4着のハーツコンチェルトより2.5kg重かったので、同世代相手に同斤量で勝った京都新聞杯、神戸新聞杯とはまた違った価値があると思います。 日本ダービー11着、菊花賞10着と、GIではなぜか大敗していますが、このまま順調に成長すれば、京都外回りの春の天皇賞ではいいところがありそうです。