橋本じゅんが高める“チーム感” 『オクラ』『MIU404』などを支える“温厚なバランサー”に
放送中のドラマ『オクラ』(フジテレビ系)が回を重ねるごとに面白くなってきている。主人公である刑事ふたりの“バディ感”がどんどん強くなり、彼らを囲む“チーム感”も高まってきているからだ。 【写真】幾多学(橋本じゅん)を囲むオクラメンバーたち このチームの重要なポジションに配されているのが幾多学という人物。演じているのは橋本じゅんである。 本作は、長きにわたって未解決となっている“オクラ(お蔵入り)状態”の事件に刑事たちが挑むさまを描いたヒューマン・ミステリー・エンターテインメントだ。物語を牽引するのは“捜査は足で稼ぐ”がモットーの飛鷹千寿(反町隆史)と、“タイムパフォーマンス重視”の不破利己(杉野遥亮)の凸凹コンビ。この“人情深い昭和刑事”と“クールな令和刑事”がバディとなり、あの手この手でお蔵入り状態の事件を解決していく。 橋本が演じる幾多学は、「特命捜査情報管理室(通称:オクラ)」の室長だ。温厚な性格の持ち主だが、かなりのギャンブル狂らしく、これが原因で「オクラ」に異動してきた。そう、この部署はいわば警視庁内の左遷先。元ヤン女性刑事・結城倫子(白石麻衣)や天才的なハッカー・吉岡雷(前田旺志郎)などなど、千寿と利己のみならず、非常にユニークなメンバーによって「オクラ」は構成されている。みんなワケありなこのチームをどうにか束ねているのが幾多なのである。 そんな幾多を演じる橋本といえば、「劇団☆新感線」に所属し、演劇作品はもちろんのこと、バイプレイヤーとして膨大な数の映画やドラマを支え続ける存在だ。2020年代以降の作品でいえば、『オクラ』と同じく刑事たちのチームの活躍を描いた『MIU404』(2020年/TBS系)、同作と世界観を共有している映画『ラストマイル』がとくに際立っているのではないだろうか。いずれも多くの個性的なキャラクターたちが入り乱れる作品であり、橋本が演じる陣馬耕平は全体のバランスを取るような存在だったと思う。陣馬は熱血なところもあるから、温厚な幾多とは対照的な人物だ。 『MIU404』と『ラストマイル』の脚本を手がけた野木亜紀子の作品でいえば、『罪の声』(2020年)と『カラオケ行こ!』(2024年)にも出演している。後者に関しては2024年の話題作のひとつだといえるだろう。とあるヤクザ組織のカラオケ大会で万年最下位から抜け出そうとする“ハイエナの兄貴”を演じていた。前者は非常にシリアスな作品だったため、橋本の演技も重たいトーンのものに。この2作に触れることで、いかに橋本の演技の振れ幅が大きく、そしていかに彼が作り手たちから信頼されている存在なのか分かるだろう。まさに、何でもござれだ。