民放ドラマ、最も躍進した女優は? 演技が絶賛された宝石(2)ポンコツキャラがどハマり…新境地を切り拓く
2024年も名作ドラマが誕生した。ここ数年、各局がこぞってヒット作を生み出そうとしている熱意は、役者陣のパフォーマンスを充実させ、画面を通しても視聴者へと伝わる。そこで今回は、2024年のドラマでとりわけ素晴らしい演技を披露した“主演女優”を5人セレクト。それぞれの芝居の魅力を紹介する。第2回。(文・苫とり子)
菜々緒『無能の鷹』(テレビ朝日系)
10月期放送のドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)で主演を務めた菜々緒。今年、出演した映像作品はこの一本のみとなったが、そのインパクトはかなり強烈だった。 本作で菜々緒が演じたのは、超有能そうに見えるのに、実は衝撃的かつ圧倒的に無能なITコンサルの新入社員・鷹野ツメ子。謎の“できる人オーラ”は昔から好きだったお仕事ドラマで培ったものという設定だが、面白いのは菜々緒自身がそのお仕事ドラマで散々シゴデキな女性を演じてきたことだ。 その抜群のプロポーションと美しい所作、努力に裏付けされた内側から溢れる自信で、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)で演じたファッション誌の敏腕編集長や、『七人の秘書』(テレビ朝日系)で演じた人並み外れた運動神経を持つ警視庁警務部長付きの秘書など、キャリアウーマン役に説得力をもたらしてきた菜々緒だけに、パソコンの起動や資料のコピーさえもまともにデキず、仕事中は動画視聴やペン回しに没頭するポンコツキャラは実に新鮮。 セルフイメージを覆してコメディエンヌに徹し、大いに私たちを笑わせてくれたが、菜々緒がすごいのはその演技が全くわざとらしく感じないところだろうあくまでも本人は一生懸命なことが伝わってくるから、余計に面白く感じる。 なおかつ、「もしかしたら能ある鷹が爪を隠しているだけなのでは?」と思わせる余地もあり、そのバランスが絶妙だった。本作で意外性を見せつけた菜々緒には、今後、シゴデキな女性以外の役でオファーが殺到するのではないだろうか。 (文・苫とり子)
苫とり子