宇宙初期、予想超える多くの巨大ブラックホール 東大・国立天文台が発見
同望遠鏡は、巨大ブラックホールを中心に持つ銀河の光も捉えていた。黄色や青白、赤などの色があり、形も多彩。巨大ブラックホールが当時、さまざまなタイプの銀河に、普遍的に存在したことを物語っているという。 今回捉えた巨大ブラックホールの質量は、従来観測されてきたクエーサーの中心の巨大ブラックホールのわずか100分の1で、より形成初期に近いものとみられる。この時代に、巨大ブラックホールが急成長していた可能性があるという。 研究グループの東京大学宇宙線研究所の播金(はりかね)優一助教(宇宙物理学)は会見で「宇宙初期の巨大ブラックホールの形成や成長が、従来考えられたよりも早かった。起源の理解に向け、かなりインパクトのある成果となった。クエーサーが少なかったことを説明する理論モデルが作られてきたが、今回の成果はまだ説明できない。また、今回捉えたものとは異なるタイプも含めると、巨大ブラックホールはさらに多かったかもしれない。130億年以前も詳しく調べるなどして、どんどん迫っていきたい」と話した。
成果は米天文学誌「アストロフィジカルジャーナル」に6日掲載された。 ◇
播金助教ら東京大学と国立天文台の研究グループはこの成果に続き、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の観測データに基づき、観測史上最遠方である134億~135億光年の距離にある5つの銀河で、従来の理論の予測より短時間に次々と星が誕生していることが分かった、と発表した。5つの銀河のうち2つは、新たに発見した。研究グループは「宇宙初期の銀河の形成過程が、これまで考えられていたものとは異なる可能性を示しており、初代銀河の性質を知る上で重要な手がかりとなる」としている。成果は同じく「アストロフィジカルジャーナル」に23日掲載された。