【歴史】原始の地球上に「土」が存在しなかったという驚き 土はどこから運ばれ、どうやって作られたのか?
■土は生きものなしには存在しない 大さじ1杯の土には1万種類、100億個の微生物がいるといわれます。土は生きものなしには存在しませんし、生きものは土に支えられて存在しているという関係に注目すると、土の力の活用こそ陸地での生活の基本と考えられます。 土の役割を改めて確認します。 1 陸上の生産者である植物を支え、育てます。農耕は植物を栽培し、家畜を飼育する行為であり、土の力に支えられています。 2 土の粒子の間隙には水と空気が貯えられ、それが植物の根から吸収されます。土中の水は地球上の水循環の重要な経路です。近年、「森は海の恋人」という言葉に代表されるように、この水循環への関心は高まっています。
3 土中にいる無数の微生物や小動物が、生物の遺骸や排泄物、さらには生ゴミも分解して植物の栄養として使われるのですが、生きもののはたらきを土の中の空気が助けます。 植物たちを支え、水や養分を送り込むという誰もが知っている土の役割ですが、ここに書いたことから土の様子をまとめると、下の図のようになります(※外部配信先では図を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。 土と聞くと固相の無機物を思い浮かべますが、農耕にとっての土として重要なのは、有機物、水、空気です。
生きものを支えるのは水と空気と有機物であることは、誰もが知っています。これらを上手に生かせるように、土の状態を整えることが基本の基本です。 落ち葉、動物の死骸、ふんなどにある有機物を土中の微生物が分解し、植物に吸収される形にします。具体的な元素として窒素、リン、カリウムが最も重要です。そのほかもちろん炭素、水素、酸素が必要ですし、鉄、硫黄、マグネシウム、カルシウムも不可欠です。 これらの含まれ方は地域によって違います。土の多様性は、色にも現れます。黒、茶、灰、赤、白など……日本列島は黒や茶の、先にあげた成分を比較的豊かに含む土に恵まれており、幸せです。もっとも酸性という問題点はありますが。