いまさら人に聞けない"肩こり"の基礎知識
■で、筋膜リリースってなんなの? 肩こりの基礎知識を学んだ上で、次は対処法を聞いていこう! Q.肩こりを楽にするストレッチやマッサージなどがあれば教えてください。 「肩甲骨を動かすことはすごく大事。それぞれの肩に手を置いて、ぐるぐると回す動きはすごくいいと思います。毎日気づいたときに10秒くらいするといいでしょう。1日1回30秒するよりも、朝昼晩と10秒ずつを3回するほうがいいです。 あとは首すくめ。肩をギューッと上げて落とす。緊張と弛緩ですね。ほかにも首をゆっくり回したり、前後左右に動かすだけでも効果はあります。動かすというよりは伸ばすことを目的にやってみてください」 Q.湿布や磁気バン、電気治療などは効果がある? 「湿布薬は鎮痛作用、抗炎症作用のあるものが多いので、痛みがひどいときに使うといいでしょう。痛みそのものがストレスになるので、それを減らすのは大事です。 一方、磁気、鍼、電気および最近はやりの高周波パルス治療器などは、いずれも血流を良くしてこりをほぐすものです。 血管の内側にある内皮細胞に働きかける磁気、刺すことで体に刺激を与える鍼、電流を流して筋肉を弛緩・収縮させる電気および高周波パルス治療器と、それぞれアプローチは異なりますが、血流を促進する効果が見込めます」 Q.サプリや飲み薬は効果がある? 「こりに効くとうたわれるサプリには、ビタミンBが含まれることが多いです。ビタミンBは糖質を分解してエネルギーに変えるのを助けてくれる。そのエネルギーが神経や筋肉にいきわたるんです。 それが足りないと末梢神経障害を起こしたり、筋肉もこりやすくなる。筋肉が動かなくなるとポンプ機能が低下するので血流も悪くなります。 あと、飲み薬なら漢方薬にもオススメがあります。例えば葛根湯。筋肉の緊張をほぐす作用があるので効き目があるかと思います。私もケースによっては処方します」 Q.いろいろ試したけど、どうにも良くならない。そんな人のために何か治療法はありますか? 「肩ボトックスという注射があります。ボトックスには筋肉の動きを止める効果があるんです。 シワに打てばシワが消えるし、エラに打てば小顔になって食いしばりもなくなる。肩に打てば、肩のモリッとしたこりが小さくなるし、力が入ることが原因の肩こりも改善される。筋肉が動かなくなれば当然力がかかることもなくなるので、そうすると痛くなることもない。 ただ、動かしていくとだんだん筋肉はついてくるので、半年に1回、少ない人なら1年に1回の頻度で打つことが推奨されます。あと、保険適用外で自由診療になってしまうので、費用もかかってしまいます」 Q.最近、筋膜リリースとか肩甲骨はがしとかいう言葉をよく聞きますが、あれはどういう意味なんでしょう? 「炎症や運動不足が続くと、筋肉と筋膜(筋肉の外側を覆う薄い膜)がくっついちゃうんです。それで筋肉の動きが制限されてしまう。筋肉の動きが制限されると、当然ポンプ機能が落ちるので血流が悪くなる。すると肩こりが起きます。そうした癒着をはがすためにちゃんと筋膜を動かしましょうねというものです。 先ほどお伝えした、肩に手を置いてぐるぐる動かす動きも、肩甲骨をリリースする動きといえます。その癒着した筋膜をはがすことに主眼を置いた運動が筋膜リリースですね」 わかったのは、長時間同じ姿勢でいて、首肩回りを動かさないでいることは厳禁ということ。皆さんもこまめにストレッチを心がけましょう! 取材/渡辺ありさ 写真/PIXTA