メイウェザー対那須川天心の世紀の一戦でルール未定の違和感
対戦相手の那須川の映像は「ハイライトで見た」という。 「アンビリーバブルなファイター。信じられない能力を持っている。スキルもタレント性もパワーもある。並みの選手でないことはわかる。若くてストロング。動きが速い。負けたことがないのは、彼がそれだけのことをしてきた証そのもの。賞賛したい。経験則は私に分があるが、若さで分があるとすれば天心だ」 一方の那須川は、同じサウスポーであるパッキャオ戦や、マクレガー戦の試合を見ていて「上手くパンチをよけるしディフェンスは凄いと思う。マクレガー戦とパッキャオ戦は、最強に挑む方に情が沸き相手を応援していたが、無理だった。今度、その立場に自分がなれることにワクワクしている」と印象を語った。 だが、肝心のルールが会見では一切、明らかにされなかった。メイウェザーは、マクレガーと戦ったときは、自らの土俵であるボクシングルールを要求した。その後、総合の練習を行っているという話もあるが、この日、ルールと体重に希望はあるのか?と質問すると、「ルール、体重については、向こう数週間で対話して決めていきたい。RIZINと、私のチームが、いいアイデアを出しながらここ数週間で調整してくれると信頼している。無敗の私が、どういう戦いをするかに注目度はあるし、それに応える」と煙に巻いた。 対する那須川は「なんでもこい」の姿勢で「どんなルールでもいい。蹴りありでも、相手の土俵で、ボクシングルールで、パンチルールで戦ってもいい」と堂々としたものだった。 榊原実行委員長は「スペシャル・スタンディング・バウト」という表現を使った。 「ラウンド数、ジャッジ、レフリーの問題、バックブローがありか、なしか。1ラウンドで5回だけ蹴りがありとか、グローブを8オンスでいくか、6オンスでいくのか、など検討すべきルールはたくさんあって、高田―ヒクソン戦のときみたいにギリギリまで決まらない可能性もある。基本的には、喧嘩、果し合い。ボクシングルールにはならない。異種格闘技戦であってルールを合わせる競技ではない」と説明したが、世界が注目している異種格闘技戦のルールを会見で、同時発表しないことには違和感が残る。 榊原実行委員長が、「ライセンスもなく、統括管理する権利もない」ことを理由に「ボクシングルール」という言葉を使わなかったことは、世間に誤解を与えずボクシング界へもリスペクトのある言動で評価すべきだが、「果し合い」「喧嘩」のキーワードで、この世紀の一戦をくくるのはいかがなものか。 最終的には限りなくボクシングルールに近いものに落ち着き、しかもラウンド数もコンパクトに収まるのだろうが、その大枠は、この日、発表しておくべきだった。 そして最大の問題が体重である。