やはり主役はCB FOUR! ホンダ「デザインスケッチの世界」
1960年代幻のスーパーカブ新提案
1958年の登場から基本コンセプトを変えずに現在まで走り続けているスーパーカブは、過去に何度か大きなデザイン変更に挑戦した歴史があり、1960年代後半に描かれた原画が公開された。 OBの証言を交えた解説には『このスケッチは、アクリルガッシュという絵具で丁寧に描かれていて、車体の全長が90cm以上に表現された特大サイズと共に、現存するデザインスケッチの中でも異彩を放っています。 実車・現物しか信じなかった本田宗一郎社長が、当時別の機種の大きなサイズのスケッチを見て「絵でも判るんだな」と直接言われたというOBの証言があります。そのことから、当時は大きなスケッチを多く描いていたようです』とある。
HRCレーサーのデザインスケッチも存在
本田技術研究所のデザイン部門は1982年のHRC発足以前からワークスマシンのカラーリングのデザインを担当している。1980年代のレーサーレプリカブームの時代には、ワークスマシンカラーリングが市販されるケースもあり、レーサーのデザインは重要視されている。 解説には『レース用車両の凹凸がある立体に、どの方向から見ても連続性を感じさせるストライプを通すデザインワークは単純なように見えて実はとても難しく、デザイナーは何度も微調整を行いながらデザインを完成させマシンを華やかなサーキットに送り出してきました』とある。
幻のダックスも公開
2022年にリバイバルしたダックス125は、胴長ルックのプレスフレームを受け継ぎ話題になった。実は、オリジナルダックスのプレスフレームは、元々デザインスケッチではアルミモノコックフレームで描かれていたものが、生産の兼ね合いからスチールプレスフレームになった経緯がある。 解説には『DAXといえば胴長なプレスフレームの姿が犬のダックスフントに似ていることから命名されていますが、これらの3枚はその見慣れたDAXとは別案のアイデアスケッチです』とある。 新たに公開されたダックスのデザインスケッチは、ロー&ロングのシルエットは共通だが、3車3様の方向性。モンキーの次のモデルとして本田宗一郎氏の「もっと取っつきやすく、機械を感じさせない、シンプルなデザインをつくれ」という指示に応えるべく、アルミフレーム以外にも様々な提案があったことが分かる。
市本行平