アモリムは具体的な選択肢として検討されているに違いない
また、英国の有力紙『Telegraph』が1280万ポンド(約23億円)と報じた契約解除金もお手ごろだ。
悪くない人選である。2019/20シーズン、スポルティングに着任した後、ヨーロッパのコンペティションは一度も外していない。一昨シーズンはリーガ・ポルトガルを制し、ゴンサロ・イグナシオ、ウスマンヌ・ディオマンデ、モーテン・ヒュルマン、ヴィクトル・ギェケレシュなど、アモリムが育てた選手たちは今夏の移籍市場で注目されるだろう。
「いまは100%スポルティングに集中している。余計な詮索はやめてほしい」
クラブとエージェントを通じ、アモリムは「リヴァプールの新監督に就任濃厚」と報じるメディアにくぎを刺した。ただ、昨年末にチェルシーやマンチェスター・ユナイテッドとリンクされたとき、少なからぬ野心をうかがわせる表情を見せていた。
リヴァプールの監督を任せるのなら、少なくとも優勝経験が必要だ。有力候補のひとりとされるデ・ゼルビは、優勝争いにすら身を投じていない。アモリムはスポルティングにおいて、毎シーズンのようにヒリヒリした最終盤を味わってきた。
現時点で、アモリムがポールポジションに位置している。まだ39歳と若く、選手と感覚が近いことも大きなメリットだ。
ドイツ人の情熱家からポルトガル人の野心家へ──。リヴァプールは、新しい物語が紡がれる。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹