サッカーコラム インドネシアで感じたサッカー熱の高さと日本へのリスペクト
【No Ball、No Life】W杯アジア最終予選の取材で訪れたインドネシアで、めきめきと力を付けている東南アジアの新興国のサッカー熱の高さとともに、日本へのリスペクトを感じた。 国を挙げて26年W杯への出場を目指しているインドネシア。街中や地下鉄の車内には代表選手が起用されたミネラルウオーターの広告がそこかしこに貼られるなど、国内でのサッカー人気は絶大で、ジャカルタを走るタクシーの運転手は記者が日本人とわかるやいなや、日本戦の話を持ち掛けてきた。 10月に訪れたサウジアラビアなど他の国で同じような会話になると、自国の代表が日本に勝つと予想する人がほとんど。しかし、インドネシアでは意外にも「日本が3-0で勝つ」、「何とか引き分けられればいいかな」などという意見が大半。アジアの強豪国に追いつき追い越せと、成長を続ける自国の代表の現在地を冷静に見つめつつ、日本に対しては敬意を持っていた。 日本代表の練習場には連日多くの地元メディアと日本の選手を一目見ようとするファンが詰めかけた。6万304人が来場した試合当日にはキックオフの4時間以上前からスタジアム周辺には人があふれ、長蛇の列ができた。日本が4点をリードする展開になっても帰ろうとはせず。試合が終わると両チームへ温かい拍手を送る姿には心を打たれた。 インドネシアは日本戦に続いてホームでの試合となった19日のサウジアラビア戦で2-0の勝利。2位以下が大混戦のC組で一気に3位まで順位を上げた。相手へのリスペクトを忘れずに代表を後押しするサポーターとともにW杯の舞台に立ってほしい。日本人の記者の私も、そう応援したくなる同国のサッカー熱とサポーターの姿だった。(山下幸志朗)