ウクライナで今冬1日18時間の停電恐れ、学校で電気・暖房が不足…ユニセフ代表が支援求める
ウクライナなどを担当する国連児童基金(ユニセフ)の欧州・中央アジア地域事務所のレジーナ・デドミニチス代表(51)が東京都内で読売新聞のインタビューに応じた。ロシアの侵略が続くウクライナでは厳しい冬が迫る中、エネルギー施設に対する攻撃で特に子供たちが通う学校での電力確保が難しくなっているとして、日本を含む国際社会に支援を求めた。
国連が9月に発表した報告は、ウクライナではこの冬に1日18時間の停電が起きる恐れがあると指摘した。ユニセフは暖房器具などを配布しているものの、デドミニチス氏は「学校では電気や暖房を十分に得られなくなる」などと窮状を訴えた。水道施設にも被害が出ているという。
デドミニチス氏によると、支援継続に欠かせない資金も不足しており、越冬支援のため追加で3270万ドル(約50億円)が必要だという。ウクライナ支援のために与えられた予算は、ロシアの侵略が始まった2022年は約12億ドルだったが、昨年は約6割減で、今年はさらに減少したという。
世界各地の人道危機などユニセフが携わる事案が増えていることなどが原因で、デドミニチス氏は「資金があれば需要に対応できる」と語った。
侵略の長期化が子供の健康に与える影響も懸念されている。デドミニチス氏によると、13~15歳の半数が睡眠障害を抱え、学校を中退したいと思う子供も少なくないという。
ユニセフはデジタル技術の活用など、復興をにらんだ技能も子供たちに教えているといい、デドミニチス氏は、デジタルを活用した教育分野での日本との協力にも期待を示した。
デドミニチス氏は外務省や国際協力機構(JICA)との情報共有などを目的に来日した。インタビューは今月24日に行った。(国際部 村上愛衣)