一気見必至! NetflixやPrime Video、U-NEXTで配信されているGWに見るべきおすすめドラマ4選
『Mr. & Mrs. スミス』、『窓際のスパイ』、『ポーカー・フェイス』、『ジェントルメン』といったGWに一気見出来る話題のドラマを紹介する。 【写真を見る】GWに見るべきおすすめドラマをチェック!
『Mr. & Mrs. スミス』、『窓際のスパイ』、『ポーカー・フェイス』、『ジェントルメン』の見どころ紹介
■『Mr. & Mrs. スミス』――映画とは別もの! ウィットに富んだ現代的ストーリーに加えスタイリッシュなファッションも Prime Videoで配信中のドラマ『Mr. & Mrs. スミス』。名前を聞いてピンと来た方も多いと思うが、オリジナルはブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが主演した2005年の映画版。男女のスパイが夫婦となるという設定は似ているが、ストーリーは全く異なる。 謎のスパイ組織に雇われた男女。ふたりは偽の夫婦として一緒に暮らし、ジョン・スミスとジェーン・スミスという偽名を使いスパイ活動を行う。男女の関係にはならないという取り決めをし任務を遂行するが、次第に関係が深くなっていく。しかし任務の難易度が増すにつれ、二人の仲も険悪に。そして任務に失敗したことで、命を狙われるふたりだが……。 ■おっちょこちょいな主人公と豪華なゲスト俳優 夫であるジョン・スミスを演じたのはドナルド・グローヴァー。俳優だけでなくプロデューサーや脚本家としても活躍し、チャイルディッシュ・ガンビーノ名義でラッパーとしても活動する。妻であるジェーン・スミスを演じたのは母親が日本人、父親がアメリカ人のマヤ・アースキン。そしてふたりの隣人を演じるのがなんとポール・ダノ。ロバート・パティンソンがバットマンを演じた「THE BATMAN ザ・バットマン」で最狂の知能犯リドラーを演じ注目を集めた名俳優が、ちょい役で出演しているのだ。さらにスミス夫妻のセラピスト役はサラ・ポールソンが演じたりとゲスト陣がなんとも豪華。 エピソード毎に任務を遂行するという作りだが、ふたりが意外と間抜けで誤ってターゲットを殺してしまったりと、完璧を期すスパイものとは一線を画す。また随所に散りばめられたユーモアのセンスの良いこと。モダンでシニカルな笑いとスパイものの緊張感が良いバランスで、ついつい夜を明かして一気見してしまう。 ■スタイリッシュなファッションと美術 注目すべきはジョンのファッションだ。ふたりは任務遂行のため様々な場所へ赴くが、アルプスのスキーリゾートでのスキーウェアのコーディネートや、コモ湖でのかなり短い丈のショートパンツにスリップオンを合わせたコーディネートなど、もちろんダニエル・グローヴァーのスタイルの良さによるところも大きいが、それを引き算してもとてもクールでお洒落。ジェーンもザ・ロウのバッグをさり気なく使っていたり、クレージュのトップスを着こなしたりとスタイリッシュではあるが、ジョンのクールさには少々負ける。ふたりが暮らすタウンハウスのインテリアも洗練されており、雑誌のページをめくるように、ファッションやインテリアも楽しむこともできる。 先進的な考えをもつ女性と保守的な男性という構図はややクリシェな部分もあるが、そもそも黒人男性とアジア系女性が主人公という設定だけで十分にアップデートされたモダンな作品だといえる。どうやらシーズン2も制作されるようなので、今のうちに追いついておくのがおすすめだ。 『Mr. & Mrs. スミス』 Prime Videoで独占配信中 ■『窓際のスパイ』――ゲイリー・オールドマンが汚じさんを怪演、落ちこぼれたちによるリベンジストーリー 『窓際のスパイ』は、ミック・ヘロンの人気小説シリーズ「Slow Horses」をドラマ化したダークでコミカルなスパイスリラードラマ。英国諜報機関のMI5でミスを犯し、窓際へ追いやられた落ちこぼれたちが所属する部署「Slough House(スラウハウス=泥沼の家)」を舞台に、チームリーダーのジャクソン・ラム(ゲイリー・オールドマン)とチームメンバーたちが、危険分子から英国を守る姿を、ダークなユーモアを効かせて軽快に描く。 訓練中に不祥事を起こし、MI5の最下層「スラウハウス」に送り込まれた若きリヴァー・カートライト。なんとか本部に返り咲こうと虎視眈々と機会をうかがっているが、与えられる仕事は証拠探しと称したゴミ漁りばかり。そんな時、リヴァーはあるジャーナリストのPCから盗んだUSBを本部に届ける任務を請け負うが、勝手にUSBの中身を盗み見る。時を同じくして、誘拐事件が起き、誘拐されたのはパキスタン軍の重要人物の甥だった。ジャーナリストの監視と誘拐事件のつながりに気付いたリヴァーは独自に捜査を進める。 ■ミスを犯したって負け犬じゃない 「スラウハウス」は、情報機関のファイルを電車内に置き忘れたり、監視カメラを誤って爆破したり、酔って羽目を外してしまったりといった不祥事を起こした落ちこぼれの集まりという設定だが、ミスを犯したものの彼らはかなりの精鋭。実は表のヒーローであるMI5本部を影で支えているのが「スラウハウス」なのだ。本作は一度のミスでキャンセルされてしまう現代社会へのアンチテーゼともいえる。 ■ゲイリー・オールドマンの引退作になるかもしれない 本作を際立たせるのが、アカデミー俳優のゲイリー・オールドマンだ。彼が演じるラムは、ボサボサの長髪にしわしわのトレンチコートを羽織り、人前で平気でゲップやおならはするし、風呂には入らないし、あげくのはてには事務所に住み着いている汚いおじさん。しかしかつて本部で大活躍した精鋭のひとりで、頭のキレ具合は「スラウハウス」イチというかMI5イチ。作中で過去に何らかの事件があったことがほのめかされ、謎めいた過去が徐々に明かされていく。 現在、シーズン3まで配信中で、シーズン5までの制作が決まっている。ゲイリー・オールドマンは本作をもっての引退を示唆する発言をしており、その去就にも注目が集まっている。『窓際のスパイ』は、寡作ながら良作の多いApple TV+で配信中だ。 Apple TV+『窓際のスパイ』 シーズン3までApple TV+で配信中 ■『ポーカー・フェイス』――もはやアメリカ版古畑任三郎!な小気味よいミステリー ラス・ベガスのカジノで働いているチャーリー・ケールは他人のブラフ、つまり嘘を見抜ける能力をもっている。その能力と持ち前の勘の良さを発揮し、親友の死の真相を追求したことで、命を狙われることに。追手から逃れるために街を転々とするが、その先々でひと癖もふた癖もある人物と不可解な殺人事件に遭遇し、事件を解決していく。 ■きっかけはいつも「Bullshit」 本作はエピソード毎に事件が起こり、完結するオムニバス形式。物語の冒頭で犯人が明らかとなり、事件の真相をチャーリーが紐解いていく倒叙ミステリーだ。チャーリーが「Bullshit(ウソだね)」と感じた違和感をきっかけに、事件は解決へと向かっていく。殺人事件を扱いながらも、コミカルな登場人物やユーモアたっぷりの心理戦が見どころで、軽快なテンポでストーリーは進行する。 ■ライアン・ジョンソンの十八番である探偵作品 チャーリー・ケールを演じたのは、伝説的ドラマシリーズ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のニッキー役でお馴染みのナターシャ・リオン。誰にも媚びず信念を貫き人情深いチャーリーの人物像が、ナターシャの飄々とした雰囲気やハスキーボイスと相まって、他にはない素晴らしいキャラクターを創り出している。ゲストアクトも非常に豪華で、エイドリアン・ブロディやクロエ・セヴィニーなどが出演する。またダニエル・クレイグが事件を解決していく『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』や、米アカデミー賞脚色賞を受賞した『アメリカン・フィクション』、Netflixドラマシリーズ『三体』などで製作総指揮を務めるライアン・ジョンソン初のドラマシリーズということでも注目を集めた。 最初に犯人を明かすが、その殺しの手法をチャーリーが徐々に見つけていくので、事件を解決した時の気持ちよさがクセになる。もちろん殺人は許されることではないが、皆それぞれの事情を抱えているがゆえ、決して頭ごなしに断罪するようなことはしないチャーリーの優しさに心が温まる。事件解決ものながら様々な街を旅していくロードムービーの要素もあるので、旅気分も味わえる作品だ。 『ポーカー・フェイス』 U-NEXTにて独占配信中 ■『ジェントルメン』――ガイ・リッチー節炸裂のサスペンスコメディ 父親の死をきっかけに、思いがけず代々受け継がれてきた大邸宅を相続した英国貴族の血を引くエディ。相続後、屋敷の地下には大麻栽培の巨大施設があり、父親は麻薬ビジネスで巨万の富を得ていたことを知る。エディはこの裏ビジネスから家族を守るため、売却しようとするも、曲者たちからの妨害、兄フレディの尻拭いをさせられ、ことはうまく運ばない。ギャングの世界の流儀に則り、彼らを出し抜こうとするが、麻薬ビジネスのオーナーたちと関わることになり……。 ■鳥の着ぐるみに身を包んだフレディは後世に受け継がれる必見シーン ガイ・リッチーが監督を務める本作は、2020年公開のマシュー・マコノヒー主演映画『ジェントルメン』のスピンオフ。とはいえ、”貴族の屋敷の地下で行われている麻薬ビジネス”という設定こそ同じだが、キャラクターやストーリーは全く異なる。頭のキレるエディと正反対の間抜けな兄フレディ。ストーリーはフレディが麻薬を買うために負った莫大な借金返済のためにエディが資金集めに奔走するも、調達した資金をフレディがギャンブルに注ぎ込み一文無しになる、という尻拭いからスタートする。取引のために鳥の着ぐるみを纏って鳥のマネをするフレディがものすごく滑稽で抱腹絶倒。ここだけでも見る価値が十分にある。2話冒頭では1話後半のストーリーを別の関係者の視点から描き、音楽と相まって非常にスタイリッシュ。スピード感あるストーリー展開と見せ方が非常に巧妙で、ガイ・リッチーの実力を感じさせる。 ■次々登場する反社会的セレブリティ エディを演じたのは『ホワイト・ロータス』のテオ・ジェームズで、屋敷買収を目論むスタンリー・ジョンストンは、『ブレイキング・バッド』で麻薬組織のボス・ガスを演じたジャンカルロ・エスポジートと、近年のドラマシリーズに欠かせない名俳優たちが登場する。麻薬ものというと、ギャングや労働者階級の人物が主人公になることが多いが、本作は貴族が麻薬ビジネスを牛耳っているという設定が物語を際立たせている。お高くとまっている貴族が、実は裏社会と密接につながっているというストーリーは、イギリス社会への皮肉の現れだろうか。 兄の借金返済という些細な出来事から始まった諍いが、予想外のハプニングで雪だるま式に大きくなり、どんどんこじれていく。しかし最後はきっちり伏線回収をし、一件落着。『ジェントルメン』は騙し騙されあう三つ巴の抗争とともに、イギリス貴族らしい3Pスーツの着こなしやクレー射撃などイギリスらしいカルチャーなども楽しめる娯楽作品だ。 Netflixシリーズ『ジェントルメン』独占配信中
編集と文・遠藤加奈(GQ)