昨年４月の東京都江東区長選を巡り、違法な有料動画広告を配信し、選挙運動の報酬として元区議に１００万円を供与したとして、公選法違反（買収など）罪に問われた前区長の木村弥生被告（５８）の判決公判が１４日、東京地裁であり、鎌倉正和裁判長は懲役１年６月、執行猶予５年（求刑１年６月）を言い渡した。 判決理由で鎌倉裁判長は「動画広告の内容策定や出演など、犯行に主体的に関与した」と指摘。弁護側は柿沢未途元衆院議員＝同法違反罪で有罪確定＝の助言に従ったにすぎないと主張していたが、「柿沢氏を信頼したのは軽率。記者会見で虚偽の説明をした隠蔽工作も非難されるべきだ」とした。現金供与についても「選挙の公正を直接害するもの」と述べた。 一方で木村被告が反省の態度を示していることなどから執行猶予を付けた。有罪が確定すれば木村被告は公民権が停止され、５年間すべての選挙に立候補できなくなる。 判決によると、木村被告は昨年４月、柿沢氏と共謀して違法な動画広告を約３７万円で配信し、同年６月、選挙運動報酬として元区議に現金１００万円を提供した。 木村被告は今年５月、連座制対象の柿沢氏の有罪が確定したことを受けた行政訴訟で、東京高裁から区長選への立候補を５年間禁じる判決を言い渡されていた。