少年忍者・織山尚大、俳優業で見せたシビアで冷静な一面「自分たちのファンも原作ファンも大切に」
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 公開中の映画「うちの弟どもがすみません」(三木康一郎監督)でメインキャストを演じた、ジュニア内グループ少年忍者の織山尚大(なお、21)を取材する機会に恵まれた。話を聞けば聞くほど、作品作りに誠実に臨んだことがひしひしと伝わった。 織山はヒロイン(畑芽育)が共同生活をすることになる4兄弟の三男でミステリアスな柊を演じた。自身と役は、雰囲気やキャラクターが似通うところがあると周囲からも指摘されたという。リンクするところもあり「演じやすかった」が、そこで一息つかずに役柄を模索。「とにかく声を録音して鏡の前に立ちました。あとはとにかく原作と台本を読み込みました」と柊としての“正解”を探ったという。 織山は連続ドラマや舞台への出演経験はあるが、今回がスクリーンデビュー作。今作は人気漫画の実写。原作がある作品の実写版は、原作のイメージや世界観が損なわれていないかどうかなど、シビアな視線が送られることが多い。そうした世間の一般論をしかと受け止めた上で撮影に入った。 「作品に関わるみんなの思いが絶対に重なってるところ、交わるところがあって、『そこって一体どこなんだろう』ってすごい探した現場でした。自分たちのファンももちろん大切にしたいし、原作ファンの方ももちろん大切にしないといけない」「原作ありきの作品は何回か出たことあるんです。『似てない』って言われたら終わりじゃないですか」。映画初出演を果たしたことがゴールではない。その先にいる観客の存在を意識しながら、撮影期間を過ごしたことが織山の言葉の端々ににじんだ。 普段のアイドル活動を応援してくれるファンは、作品への出演を好意的に受け止めてくれる。だが、原作ファンや映画ファンがみなそうとは限らない。それを深く自覚、自認していた。「ファンの方は出演することに『うれしい』『楽しみ』と言ってくれる。でも、原作ファンの方ってこっからがスタートじゃないですか。上映された、見た、そっから『良かったね』なのか『うーん…』ってなっちゃうのか」。 不安の色をのぞかせていたが「芝居は全力を尽くしました。原作の雰囲気にだいぶ寄せました」とやりきった表情は頼もしい。 自分自身にストイックで冷静。地に足の付いた俳優としての顔に好感を覚えた。所属事務所には俳優業で活躍する先輩タレントも多数。織山もどんどん頭角を現していってほしい。【望月千草】