【温暖化対策】若い世代の声寄せて(8月29日)
国際社会が地球温暖化への対策強化を迫られている中、異常な気候変動に警鐘を鳴らす若い世代の投稿が本紙「みんなのひろば」欄に相次いでいる。温暖化問題を誰もが自分事と捉える必要性を踏まえれば、早い時期から意識を共有する意義は大きい。 「温暖化」をテーマにした小中学、高校生からの投稿は、この1年で30人を超える。学校の授業で学んだり、校外学習で得た問題意識を新聞や書籍、インターネットなどで深掘りしたりして自らの考えをまとめた。 「絶滅危惧種が増え、生物の多様性が失われる」(鮫川村・高校生)「スキー場の営業が成り立たなくなり、地域の経済に悪影響を及ぼす」(福島市・高校生)「強い台風、集中豪雨などで災害が起きる」(伊達市・中学生)「尾瀬の花が早くかれてしまう」(泉崎村・小学生)など、さまざまな視点で危機感を訴えている。 「海草や藻類で二酸化炭素を減らす『ブルーカーボン』を広めたい」(会津若松市・小学生)「再生可能エネルギーや蓄エネルギーを使うべき」(福島市・高校生)「熱中症対策として小まめに水分休憩を設ける」(棚倉町・高校生)といった対応策や実践例は、既に推進されていたり、取り組まれたりしている内容もある。それでも、自らの学びを通して、それらの重要性を肌身で感じたのなら心強い限りだ。実感は行動の出発点になる。
世界の平均気温は昨年、観測史上最高を記録した。世界気象機関は、5年以内に更新される可能性が高いと予測する。国際労働機関は、体調不良による医療費など厳しい暑さに起因した労働界の世界の経済コストは約53兆円に上ると報告した。 温暖化の影響は枚挙にいとまがない。国内の身近な例では、主食用の昨年産米の収量は、高温障害などの影響で15年前の865万8千トンから661万トンに落ち込んだ。列車の夏季の運休や運行遅れなどは、線路のゆがみなどが原因とされる例も増えている。 持続可能な社会を維持する現役世代の責任は重いと、改めて肝に銘じる必要がある。同時に、世代を超えて関心を高め、対策を推し進める環境づくりにも一段と力を注いでいきたい。(古川雄二)