【コンビニ三国志】最激戦区・沖縄にセブンが出店攻勢、「タバコ取扱店規制」適用外のため他の地域にない全面対決 ファミマは地域ド密着「ファミンチュ」で反撃
外資企業からの買収提案に揺れるセブン&アイ・ホールディングス(HD)。日本にコンビニを根付かせた業界の王者だが、ファミリーマートとローソンの猛追によって、いよいよ「一強体制」が崩れつつある。国内再激戦区と言われる沖縄県での戦いを見てみよう。 【表】コンビニ国内再激戦区「沖縄」の戦い 3社の出店数の推移はどうなっているのか
セブンの沖縄初出店は2019年
国内店舗数が飽和するなかでここ数年、出店数が増え続けている最激戦区が「沖縄県」だ。セブン-イレブン・ジャパンとローソンでの勤務で14年の現場経験を持つコンビニ研究家の田矢信二氏が語る。 「47都道府県のうち、唯一進出していなかった沖縄に、セブンが初出店したのは2019年。わずか5年で170以上の店を出し、ファミマやローソンが多かった沖縄で、存在感を高めている。旺盛な観光客需要を狙っており、沖縄はまさにコンビニ激戦区です」 本誌・週刊ポスト記者が取材で沖縄を訪れて驚いたのが、ファミマの真横にセブンが並んでいる──そんな光景が複数見られたことだ。店舗と店舗の敷地の境目には、セブンとファミマの宣伝の「のぼり」が交互に置かれていた。 本来、タバコを取り扱う店舗は既存のタバコ取扱店から一定の距離(25~300メートル)を離さなければならないとする財務省の規制がある。だが、沖縄は例外的に適用されないため、ほかの地域では見られない既存店との“全面対決”に挑むセブンの出店が可能になっているのだ。 そんなセブンの出店攻勢をライバルが押し返した例もある。今年5月、県南部にある病院内コンビニの入札では、その場所で4年半営業したセブンに代わり、ファミマが出店を勝ち取った。セブンの出店は県民にも歓迎されているが、ファミマやローソンも店舗数を維持しており、“地盤”を守っている状況だ。
沖縄の「ファミンチュ」
県内最多の330店以上を展開するファミマは、1987年に地元スーパーのリウボウグループとの共同出資で設立された「沖縄ファミリーマート」が運営。“地域ド密着”をスローガンに掲げる。 「沖縄ファミマは沖縄限定商品を多数ラインアップしており、『ウチナンチュ(沖縄県民)』ならぬ『ファミンチュだからできること』がキャッチフレーズ。店先に『ファミマで沖縄そばしませんか?』などと掲げてアピールに注力しています」(沖縄のコンビニ関係者) 先行していたローソンも2009年、沖縄のスーパー大手サンエーと資本提携してローソン沖縄を設立。沖縄独自のPB商品を展開している。現地のコンビニ利用者に話を聞いた。 「セブンも沖縄特産の黒糖や紅芋などを使用した商品がありますが、観光客向けかなという印象です。ファミマは地元の有名企業とのコラボがうまく、『沖縄を知っているな』という商品が多い」 記者が訪れた那覇市のファミマでは沖縄のソウルフードと言われる「ポーク玉子おむすび(スパムと卵焼きを挟んだおにぎり)」や「朝すば(カップ沖縄そば)」「泡盛コーヒー」などが並んでいた。 一方、セブンは沖縄ローカルのアピールは控えめで、全国と同じ商品ラインアップを意識していることが窺えた。 ※週刊ポスト2024年11月8・15日号
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