【二所ノ関親方 真眼】相手が優勢に見えても実際は主導権 これぞ真骨頂の「琴桜ワールド」
◇大相撲夏場所8日目(2024年5月19日 両国国技館) 結びは琴桜の良さが随所に見られました。王鵬の突き放しを完全に見切って勝機を与えず、勝負どころでも回り込みながら反撃するなど「琴桜ワールド」への誘い込みに成功。王鵬はスタミナ切れになり、最後は根負けしたかのように引いてしまった。相手が優勢に見えても実際は主導権を握っている。これこそが琴桜の真骨頂です。 がむしゃらに来る相手に対し、琴桜の対応は一見遅そうに見えても実は先手を取っていることが多い。相手に押させておいて、ワン・ツーと倍返し。見切って見切って勝利につなげた結びも十分評価できる内容でした。唯一無二というスタイルで、それがあるから大関まで上りつめたと言っても過言ではありません。王鵬は次回の対戦でも力任せに攻めていくようでは、間違いなく術中にはまることでしょう。 琴桜は上位が力を出し切れない中、6勝2敗で折り返しました。大の里とは対戦が終わっていますが、大関として場所を盛り上げる責任はあります。後半の奮起に期待します。 (元横綱・稀勢の里)