観客3倍増の中で、なでしこリーグ再出発
女子サッカーが文化として定着するための定義の一例を、宮間はこう表現している。 「女子サッカーの試合があるときには、ユニフォームを着た大勢の女の子たちがスタジアムへ向かっている。そういう光景が普通に見られるようになったら、文化になったのかなと思います」 果てしない挑戦かもしれない。選手だけの頑張りでは実現できないかもしれない。苦難を極める道であることを覚悟の上で、それでも宮間はピッチの上で全身全霊のプレーを続け、ピッチを離れても「ああいう選手なりたい、と思われることが大事」とすべての女子選手へ向けて再びメッセージを送った。 フットサルコートの受け付けの仕事をしながら、サッカーを両立させてきた有吉の姿は理想像となるのではないだろうか。眩いスポットライトを浴びている27歳は「道を歩いていても『あっ、有吉だ』と言われるようになりました」とはにかみながら、決意を新たにする。 「これからも結果にこだわると同時に、質の高いサッカーで勝ち続けていきたい」 岡山・美作では宮間が執念の同点ゴールを決めて、INAC神戸を首位から引きずり降ろした。代わりに首位に立ったのは唯一、開幕から無敗をキープしている日テレ。壮大な目標へ少しずつ近づいていると信じながら、W杯決勝から1週間とたたないうちに再開されたなでしこたちの戦いはヒートアップしていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)