市川團十郎「伝統文化をアップデートし続けたい」 襲名披露興行の最後は親子で「連獅子」、大阪松竹座「十月大歌舞伎」
２０２２年１１月に始まった歌舞伎俳優・市川團十郎の襲名披露興行が、大阪松竹座での「十月大歌舞伎」（１０～２６日）で締めくくられる。團十郎はこの約２年間を振り返り、「（前名の）『海老蔵』は冒険できる余白のある名跡。『團十郎』は、もっと大きく全体を見回すような立場だと感じた」と語る。 昼の部の「雷神不動北山櫻（なるかみふどうきたやまざくら）」で鳴神上人など５役を演じる團十郎。夜の部では口上に加え、長男の市川新之助と共に舞踊劇「連獅子」を披露する。 親子で「連獅子」を舞うのは新之助の強い希望だ。團十郎が若い頃は、父の先代團十郎の意向が強く働いて役が決まっていたが、「本人の意志を聞きながら、『まだ早いぞ』とか、『それが良いぞ』と話し合って、（自分の頃よりは）もうちょっと対等な目線でやりとりをしている」という。 自身については、「（前名の）海老蔵時代は『新しいことばかりやっている』という印象があったでしょうけど、團十郎としては、ほとんど古典です。今、古典を一番やっているのは私じゃないでしょうか」。 襲名披露興行が終わっても、歌舞伎界を代表する名跡の継承者として、「守るべき伝統文化は守り、アップデートするべきものはアップデートし続けたい。それが新しいことではなく、当然だという團十郎でありたい」と決意する。 「伝統文化には、我々が忘れてしまったであろう日本の心が、所々に残っている。そういうものを日本の方々にご理解いただき、その上で『やっぱり日本はこうなんだ』ということを、海外の方々にも歌舞伎で見てもらうのが中長期の目標です」
