「まさに奇跡の人物…!?」『銀河英雄伝説』奔放な猛将「ビッテンフェルト」が誰からも愛される理由
■言いたいことを堂々と言ってくれる気持ち良さ
『銀河英雄伝説』にはさまざまな名言が存在するが、ビッテンフェルトらしい名言の数々はファンの間でも評価が高い。実に彼の性格をよく表し、しかも読者にとって「言いたいけど言えないことを堂々と言ってくれる」代弁者のような役割を担っていたのである。 たとえば、ビッテンフェルト家の家訓として披露した「他人を褒めるときは大きな声で、悪口をいうときはより大きな声で」などは、思わず納得してしまう名言である。これを家訓にしているのだから、ビッテンフェルト哲学は見習いたいところが多すぎるのである。 また、作中でビッテンフェルトはモチベーターとしての役割も担っており、攻めることをためらうラインハルトにもズバズバと物を言う場面がある。 「陛下がこれまで常勝を誇られたゆえんは、歴史を動かしていらしたことにあります。今回にかぎり、御手をつかねて歴史に動かされるのをお待ちになるのですか」と訴えかけると、このビッテンフェルトの言葉で目覚めたラインハルトは、「ビッテンフェルトの言や良し!」と艦隊を動かすことを決意した。 ビッテンフェルト自身の誰よりも戦いたいという考えから出た言葉からかもしれないが、そんなビッテンフェルトのまっすぐな言動が、時として歴史を動かしてきたのも事実である。 ただの猪武者と思いきや、ビッテンフェルトは意外なほど優秀であり、人間として愛される要素を持ち合わせていたことが少しはお分かりいただけただろうか。 最後にビッテンフェルトの名シーンをひとつ紹介したい。 最強の敵将であるヤン・ウェンリーに対し、ビッテンフェルトの部下が「和平を装ってヤンを捕虜にする」という策略を提案する場面。 それを聞いたビッテンフェルトは、数秒ためて「返事を聞きたいか?」と口にした後、「二度とそのような戯言を口にするな!」と一喝。続けて、「陛下に無能者と呼ばれるのには、俺は耐えられる。だが卑劣漢と非難されては、今日まで命がけで陛下にお仕えしてきた意味がない」とこぼすのである。 これこそがビッテンフェルトの信念であり、ラインハルトから好まれる部分が詰まった言動でもあるだろう。こういうところがファンからも愛される面であり、筆者のお気に入りのワンシーンだ。
ふたまん+編集部