「まさに奇跡の人物…!?」『銀河英雄伝説』奔放な猛将「ビッテンフェルト」が誰からも愛される理由
■負けも多いが強さは本物
自由惑星同盟・ヤン艦隊のアッテンボローからは、「失敗続きにもかかわらずその都度階級が上昇する奇跡の人物」などと小バカにされていたビッテンフェルト。 確かにビッテンフェルト艦隊は圧倒的に攻勢に強い艦隊である一方で、ポカをやらかした印象がつきまとうのは、二度の大きな失敗があるからだろう。 ひとつは「アムリッツァ星域会戦」において、功を焦ったことでヤン艦隊に狙い撃ちされ、艦隊は壊滅状態に。このやらかしにより同盟軍を完全に包囲することができず、敵を完全壊滅させることに失敗するという大失態を犯した。 二度目の失敗は、イゼルローン要塞を巡る「回廊の戦い」で、罠があると予測しながらもヤン艦隊の策に乗ってイゼルローン回廊内に侵入した結果、半数近い艦艇を失うという大敗を喫したばかりか、同僚のファーレンハイト提督まで失ってしまったこと。 アムリッツァ星域会戦の失態はラインハルトを激怒させたが、キルヒアイスがとりなしたおかげで不問にされた。それ以降、なぜかビッテンフェルトのミスは軽い叱責程度で済まされるのである。 それどころかラインハルトから「卿らしい失敗だが、卿らしくない失敗をするよりはよほどよい」と言われるほどで、ある意味特別扱いされていた稀有な存在なのだ。 とはいえ、実際ビッテンフェルトは同盟軍の名だたる名将を倒した実績もあり、アムリッツァではウランフ、アップルトンというビッグネームを戦死させている。 また帝国軍を相手に善戦していた同盟軍屈指の名将アレクサンドル・ビュコックと対戦した際にも、ビッテンフェルトの猛攻撃で一気に同盟艦隊を壊滅寸前にまで追い込み、勝利を決定づけたこともある。 さらにはヤン・ウェンリーが重用していたエドウィン・フィッシャーや、優れた用兵家としてラインハルトも一目置く老将ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ提督まで倒している。 同盟軍の名だたる名将をこれだけ倒しているのはビッテンフェルト以外にはいない。つまり、失敗はするものの、成功したときの功績も大きく、そのあたりもきちんと評価されているのだろう。