原作者も賞賛…実写版ならではの“生々しさ”とは? 映画『【推しの子】 The Final Act』評価&解説レビュー
アニメも人気を博した赤坂アカ×横槍メンゴの人気漫画「【推しの子】」が実写化。11月28日より全8話のドラマが配信され、続きとなる映画『【推しの子】The Final Act』が12月20日に公開された。クライマックスまで紡がれる物語に目を逸らさずにはいられない。(文・小松加奈)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】 ※本レビューでは映画のクライマックスについて言及があります。 【写真】実写版ならではの“生々しさ”とは? 貴重な未公開カットはこちら。映画『【推しの子】 The Final Act』劇中カット一覧
いよいよ完結編! 物語最大の謎に迫るスリリングな展開
伝説のアイドル・アイの子ども【推しの子】として、前世の記憶を持ったまま転生した双子のアクアとルビー。2人は出産したことを隠しつつアイドル活動を再開したアイを応援しながら、アイのもとで成長していく。やがて、アイが所属するB小町の人気も上昇、東京ドームでのライブが決定した。だが、ライブ当日に熱狂的なストーカーがアイの新居を訪れ...。 ドラマ第1話にリンクするアイの生きざまを新たに描いた映画の幕開けは、原作、アニメ、ドラマを知っている人にはより鮮明に、そして【推しの子】を知らない人にも鮮烈なインパクトを与えるものになった。 アクアは復讐心に囚われ母の死の真相を追い、ルビーは母のようなアイドルになることを一途に夢見る。そして、それぞれの想いを抱えながら“芸能界”に飛び込んだ。 ドラマで2人がアイの子どもであることが世間に公表されたが、映画ではアイ殺害事件の黒幕、そしてアクアとルビーの父親は誰なのかという最大の謎が、ドラマの中でも登場した映画『15年の嘘』の制作模様とともに描かれる。
キャスト陣が魅せる実写ならではの“リアリティ”
ドラマでも原作ファンを唸らすキャスティングが評判となっていたが、映画でもその真価をまざまざと感じさせられた。 齋藤飛鳥は、アイのきらめきと儚さ、つかみどころのないミステリアスなキャラクターを体現。アクアを演じる櫻井海音、アクアの妹・ルビーを演じる齊藤なぎさは、ともに前世の記憶を持ったまま成長した高校生という難役に挑み続ける。使命ともいえるものに突き動かされていくアクアとルビーの計り知れない激情に、スクリーンでより圧倒させられる。 ルビーが結成した3人組アイドル「B小町」のメンバーで元天才子役の女優・有馬かな(原菜乃華)は、その強烈なキャラクターが魅力。人気インフルエンサー・ルビー、かなと「B小町」を結成する人気インフルエンサーのMEMちょ(あの)や、有馬かなとは犬猿の仲でもある劇団「ララライ」所属の女優・黒川あかね(茅島みずき)の立ち回りも、個性豊かで目が離せない。 ドラマでも意味深な言葉を発していた二宮和也演じる「劇団ララライ」OBの謎に包まれた男・カミキヒカル(少年時代は黒川想矢が演じている)は、アイにも似たつかみどころのなさがあり、「僕にとって、演じる事は復讐だ」というアクアに対し、「それは僕への復讐?」と言うカミキの微笑みにも表れてたように、終始不気味な存在感を漂わせていた。 そして予告や特別映像でも、アイの担当医・雨宮吾郎(成田凌)、吾郎が気に掛ける入院患者でアイの大ファンだった天童寺さりな(稲垣来泉)のやりとりが描かれているが、ドラマでも登場した2人が映画でより濃く描かれ、アフターストーリーに深みをもたらしている。