「現場を愛し、愛されたい」「“芸能人”ではなく人間で在りたい」櫻井海音が俳優歴4年で確立した思考
僕は「芸能人だから」と称されるのが大嫌い
――普段はあまり本心を見せないアクアですが、感情の機微をどのように表現しようと思われましたか? 原作という正解があってそこに答えがあるので、それを忠実にやるだけです。アクアの声色や表情、アクアがどういう思いで芸能界に入って、アイのことや誰かわからない父親に対してどう思っているのかといった心情も含め、細かい所作などは事前に原作を読み込むという作業を撮影以外の日でもずっとしていたので、常に頭の中にアクアがいる環境を作っていました。 ――2年前、CREAのインタビュ―にご登場いただいた際も「思考することが好きなので、俳優の仕事は楽しい」と仰っていましたが、今はどうですか? 意外とその時からは変わっていないですね。元々思考することはすごく好きなので、どうすれば視聴者の方に分かりやすく伝えられるかなとか、何が求められていて、自分はどんな表現をするのが正しいのかなといったことを考える時間が好きなんです。 最近はそれにプラスアルファして、現場での居方など芝居以外のことも、この2年で少しずつ確立されてきたのかなという実感があります。 ――「現場での居方」というのは、具体的にどういったものなのですか? 先ほども言ったように「現場を愛して、現場に愛される」ために、自分ができることは何か、「現場ファースト」でいるにはどうあるべきか、ということを探し続けています。自分が現場のためになる存在でいたいので、迷惑になることや負担のかかることは一切したくないんですよ。 もちろん俳優なので、芝居で勝負することも大事だとは思いますが、僕は「俳優だから」とか「芸能人だから」と称されるのが大嫌いなんです。ひとりの人間として、同じ作品に向き合う仲間として、常に現場に対してのリスペクトと愛を持つことを忘れないようにしています。 ――いつも何かを考え続けていると、ときに思考の迷路に迷い込むことはありませんか? それはあまりないですね。ドラマや映画の撮影って、まずは段取りをしてカメラテスト、その後本番という順番があるんですけど、段取りの段階でスミス監督、松本佳奈監督も含めてちょっとしたディスカッションをしたんです。そこで自分が求められているものと自分が表現できる範囲の塩梅を探って、それをテストで出す。そこで違っていたらまた変えて、本番には「これだ」というものを見つけられていることが多いです。 僕は自分自身が納得しないままやっていることは何もないので、自分なりの答えをいつも本番でちゃんと出せていると思っています。【つづきを読む】 櫻井海音(さくらい・かいと) 2001年4月13日生まれ、東京都出身。2020年に俳優活動をスタート。近年の主な出演作に、映画『嘘喰い』、『バジーノイズ』、ドラマ「VIVANT」、WOWOW「アオハライド Season1」、など。
根津香菜子