資産5億円以上の「超富裕層」が急増…彼らはいかにして資産形成をしているのか?
超富裕層はどのような資産運用をしているのか
では、超富裕層はどのような資産を保有し、運用しているのでしょうか。 ここで、ひとつ知っておいていただきたいことがあります。みなさんはフランスの経済学者のトマ・ピケティ氏をご存じでしょうか。2013年に発表した著書「21世紀の資本」は世界的なベストセラーになりました。この本の核となる主張は「r>g」という不等式です。 「r」とは株式や不動産などの資産から得られる所得の割合(資本収益率)のことで、おおむね年4~5%です。「g」は賃金や所得などの労働から得られる収入の増加率(経済成長率)を指していて、年1~2%程度です。 これは世界中のデータを過去200年にわたって調べた結果です。簡単に言うと「株式や不動産を持っている人の方が労働者よりも富を増やすスピードが速い」ということに他なりません。 超富裕層や富裕層が保有している金融資産は、預金よりも株式や投資信託などの有価証券の方が多いのです。起業家のなかには資産のうちのほとんどが自社株式という人もいます。富裕層以上の資産が増えているのは、まさに株式を中心とした有価証券のおかげなのです。 実際、日本を代表する株価指数である「日経平均株価」は、2011年初頭は1万500円程度、それが2021年末には2万8,791円と約2.7倍になりました。同じ期間の米国を代表する株価指数である「S&P500」は、2011年初頭は1,271ポイントだったのが2021年末は4,766ポイントと、こちらはなんと3.6倍になっています。 給料は大幅には増えないという現実がある以上、資産を増やしていくには株式や不動産への投資が正解ということになります。
専門家がおすすめ!「すぐに取り組めて、有利な」資産形成手法とは
そこで、ここからは現役世代のみなさまがすぐに取り組めて、かつ有利な資産形成手法をお伝えしましょう。 結論から申しあげると、「投資信託」を「毎月積み立て」で購入、さらに「非課税制度」を徹底的に活用することをおすすめします。選ぶべき投資信託は「世界中の株式に投資する」投資信託です。詳しく解説します。 投資信託は、ファンドとも呼ばれ、「投資家から集めたお金を、運用の専門家(ファンドマネージャー)が、株式や債券などに投資・運用を行い、得られた運用成果は投資家それぞれの金額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。 投資信託には以下のようなメリットがあります。 【投資信託のメリット】 ・少額から投資できる ・少額でも分散投資ができる ・運用の専門家に任せることができる ・個人では投資できない銘柄や資産に投資ができる ネット証券であれば購入時手数料はありませんし、保有している間の手数料もずいぶん安くなりました。筆者が証券マンをしていた時代とは雲泥の差であり、資産形成・資産運用には良い時代になったと心から思います。 前述の通り、株式はリターンが大きく資産形成には最適な投資先です。株式に投資する投資信託のなかでも、まず検討していただきたいのは「世界中の株式」に投資する「インデックス・ファンド」です。インデックス・ファンドとは指数に連動するように設計された投資信託のことです。 筆者のおすすめは日本を含む世界の47カ国、2,800銘柄以上の株価の値動きを表す「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動する投資信託です。 世界中の株式に投資することで世界の成長を取り込むことができます。現在、世界の人口は約80億人です。2030年に約85億人、2050年には約97億人、2080年代に104億人程度でピークに達し、2100年までそのレベルに留まると予測されています。 世界の人口が増えることは世界経済も成長することを意味し、それに伴って世界の企業の利益の総和も増加することになります。つまり、世界中の株式に広く投資をすることでリターンが得られるのです。 もちろん、今後も一時的な混乱や停滞やリーマンショックのような株価の大幅な下落もあるでしょう。しかし、長期で見ればそれらを乗り越え、世界人口の増加と世界経済の成長、それに伴う世界企業の利益成長と株価上昇は続くものと考えます。 具体的な商品としては、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」がおすすめです。純資産額が大きく、保有コストも非常に安いのです。その他にも「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」もおすすめできる商品です。 世界株式に積み立て式で投資した場合の具体的な数字をお示ししましょう。前述の「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」の過去30年間の実績(円ベース)は、「年平均リターン8.1%、リスク17.8%」です。仮に、40歳から毎月5万円を65歳まで積み立てた場合、投資元本総額1,500万円に対し、平均的な成績だった場合で約3,760万円になります。うまくいけば5,000万円以上になっていることも十分考えられます。あまり良い成績でなかった場合でも投資総額を下回っている可能性はかなり低いです。(いずれも独自のシミュレーションによる試算結果です)。 ただし、すべての人が世界株式への投資だけでよいかというとそうでもありません。年齢や家族構成、保有している資産の内容、リスク許容度(どの程度のリスクなら耐えられるか)、資産形成の目的など人によって違いますので、ご自身の状況に合わせて他の資産への分散投資や投資金額を考えてみてください。