デザインって何? その意義とモノづくりの本質を学ぶ
現代社会は、デザインされたものによって便利で快適な生活が成り立っている。そうした「見えない力」ともいえるデザインについて深く理解し、生活や仕事に活かすための道筋を示す参考書がある。 【画像全4枚】 三樹書房は『デザイン工学の世界』の新装版を発売した。本書は、デザインを工学的視点から捉え、建築、IT、自動車、家電、家具、都市計画、福祉など、幅広い分野での活用をめざした内容だ。2011年4月に初版が刊行されて以来、大学のデザイン学部の教科書として採用されるなど、専門家や学生から高い評価を受けてきた。 本書では、「デザインとは何か」という基本的な問いから始まり、その目的、プロセス、手法を豊富な図版とともに解説している。さらに、建築や空間デザイン、プロダクトデザインの歴史にも触れ、「デザインの世界」を広く学べる構成となっている。専門的な知識を必要とする分野だけでなく、行政や福祉に関わる公務員をめざす人々、またデザインに興味を持つ一般読者にとっても最適な一冊だ。 本書が特に注目される点は、デザインの歴史的背景とその進化を詳細に解説していることである。デザインという行為が単に「形や色を施す」ことから、人間の行動を支える計画や構想そのものを指すまでに拡張されてきた経緯を学ぶことができる。また、デザインの語源であるラテン語「designare」(指示する、計画を立てる、スケッチをする)に基づき、デザインが持つ本質的な意義を深く探る内容となっている。
レスポンス 高木啓