リバーサーフィンが米国中西部で大ブレイク、波はいつもそこにある、地域経済も活性化
マイナーなスポーツからメインストリームに
さかのぼること1970年代、リバーサーフィンというニッチなスポーツは、ドイツのミュンヘンを流れるアイスバッハ川で始まった。もともとは密かに楽しまれていた遊びだったが、海のない地域でサーフィンの代わりになるアクティビティを求める人々の中で人気を獲得していった。 海のサーフィンでは「セット」と呼ばれる数本続く大きめのうねりを待つが、川では波が途切れないので波待ちをする必要がない。繰り返し練習でき、スキルを磨くことができる。 川の波は、岩や構造物などの障害物の上を水が流れるときに安定して形成され、リバーサーフィンでは冒頭の写真のように、流れに向かって波を滑り降りるように乗る。波と同じ方向に進む海のサーフィンとは対照的だ。 リバーサーフィンで使うボードは海のサーフボードよりも短く、幅が広いのが一般的で、体積を大きくして淡水でも浮きやすくしているものが多い。 この数十年で、波を発生させる河川の技術やサーフボードの設計技術が進化し、マイナーな遊びだったリバーサーフィンは、メジャーなスポーツへと変化を遂げた。 ローラ・ハンター氏は、リバーサーフィンへのこうした関心の高まりが、さらに広がるよう期待している。ハンター氏は、オクラホマ州北東部のアーカンソー州境近くに3300万ドル(50億円強)をかけて新たに建設された急流公園WOKA(Waters of Oklahoma and Arkansas)の関係者だ。イリノイ川沿いに先月オープンしたこの公園には、落差があってさまざまなアクティビティが楽しめるポイントが8つあり、反響に驚いていると語る。 「現在までに公園を訪れた車は4000台を超えていて、想定以上です」とハンター氏は言う。「本当に信じられません」 サーフボードやカヤック、救命胴衣、その他必要な用具は現地でレンタルが可能だ。WOKAのウェブサイトではウェブカメラのライブ映像を観ることができ、事前に波の高さや水の状況を確認できる。 さらに嬉しいのは、地域社会に受け入れられていることだ、とハンター氏は続ける。 「急流(アクティビティ)をサポートする企業が、すでにこのエリアに進出しています」と氏は言う。そのひとつがエディライン・カヤックス社だ。同社はワシントン州にある本社を、WOKAから5キロメートルほどのアーカンソー州シロアム・スプリングスに移転中だ。地元のアウトドア用品店、オザーク・マウンテン・トレーディング・カンパニーでは、自社のウェブサイトに「WOKAコーナー」を新たに設けた。 住民がさらに一歩進んだ行動に出た街もある。オハイオ州デイトンでは、コロナ禍中に遠出ができなかった地元のサーファーたちが、サーフィン愛をビジネスへ発展させ、成功を収めた。ミネソタ州オースティンやサウスダコタ州スーフォールズといった地域では近い将来、街を流れる河川に急流公園の建設をもくろんでいる。