英中銀、利下げに近づく-総裁は市場予想より速いペースも示唆
ベイリー総裁は9日の声明で「インフレに関して勇気付けられるニュースがあった。インフレ率は向こう2、3カ月のうちに2%の目標近くまで下がるだろう」と説明。「利下げに踏み切るには、インフレが低水準にとどまることを示す証拠がもっと必要だ。私は、物事が正しい方向に進んでいると楽観している」と続けた。
総選挙前の利下げが選挙戦の追い風になることを期待する政府は、中銀の政策を注視している。
中銀当局者は、ピーク時には11%を超えたインフレ率がエネルギー料金の低下により4-6月(第2四半期)には目標の2%まで低下し、年後半には従来の見通しよりも緩やかな上昇にとどまると予想する。ただ、「地政学的要因」による上昇リスクについても警告した。
ベイリー総裁は政策発表後に行われたブルームバーグとのインタビューで、「予想が示唆する通り事態が進展すれば、政策の景気抑制的な度合いを低下させるべき状況となるだろう」と発言。
さらに、「二次的効果によるインフレの持続可能性についてMPCは見解を修正した」と述べ、「インフレ持続性はわれわれの従来の想定ほど強くないことを示唆する証拠があると言えるだろう」と続けた。
今年2回の25bp利下げと27年半ばの3.75%までの緩やかな金利低下という市場が想定するシナリオの下では、インフレ率は予想対象期間の2年目の終わりに目標を下回り、その1年後にはいっそう低い水準に落ち込むと見込まれた。
中銀は会合の議事要旨で「金融政策の景気抑制的なスタンスが、実体経済の活動を圧迫している」との認識を示した。
政策展開についてのガイダンスも調整した。「金利が引き下げられたとしても、政策は引き続き景気抑制的だろう」という文言は維持したが、「今後発表されるデータと、それらがインフレ持続のリスクが後退しているという評価にどのように影響するか」を注視すると付け加えた。
英中銀が早期に利下げを実施すれば、今年後半まで金融緩和が見込まれていない米金融当局とは乖離(かいり)する一方、欧州中央銀行(ECB)と足並みをそろえることになりそうだ。スウェーデン中央銀行は8日、ユーロ圏よりも一足先に利下げに動いた。