英中銀、利下げに近づく-総裁は市場予想より速いペースも示唆
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)は9日、政策金利を5.25%で据え置いたが、利下げを支持する金融政策委員会(MPC)メンバーが2人に増え、緩和開始に一歩近づいた。ベイリー総裁は、市場が今後数カ月の緩和ペースを過小評価している可能性を示唆した。
政策金利を直ちに引き下げることを、外部委員のディングラ氏とともにラムズデン副総裁が主張した。他の7人のメンバーは、インフレ抑制の見通しを示すより多くの証拠が必要だとして、据え置きを支持した。
ベイリー総裁は決定発表後の記者会見で、数カ月内に利下げが必要になる公算が大きいとし、それが6月となる「可能性を排除しないが、既定路線でもない」と述べた。
「今後数四半期にわたって金利を引き下げ、予想対象期間中に金融政策による景気抑制をいくらか緩和することが必要になる公算が大きい」と予想した。「現在市場が織り込んでいる以上」の可能性もあると付け加えた。
中銀の発表後に英国債は値上がりし、ポンドは下落した。短期金融市場の動向に従うと、最初の25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げが6月に実施される可能性は一時50%に上昇。8月までに利下げがある確率は100%織り込まれた。年内の利下げは合計59bpと示唆されている。発表前は54bpだった。
ペッパーストーン・グループのストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は、「英中銀内部のMPC委員からの反対意見は珍しい。これはMPCが一段とハト派に傾いたことを意味し、6月の次回会合で最初の利下げが実施される可能性を高めている」と話した。
中銀は当面、政策金利を景気抑制的な領域にとどめた。22年後半に40年ぶりの高水準に達した賃金・物価上昇圧力を抑え込むためだ。
決定と同時に発表された最新の予測では、今後数カ月内に金利を引き下げる必要があるとの見通しが示唆された。秋に行われると広く予想されている総選挙の前に利下げがあることになる。