「最前列に座らせろ」 横暴すぎる“マイル修行僧”に航空会社は大迷惑! 現役社員がぶっちゃけ「迷惑です」
優先席の“不正”使用
前述したように、“修行僧”たちは最短の乗り継ぎ時間で予約しているため、少しでも出発時間が遅れると、次の便に乗るために飛行機が到着するやいなや猛ダッシュしなければならない。そのため、 「バルク」 と呼ばれる最前列を好んで予約することが多い。この座席を利用したことがある人ならわかると思うが、実はベビーベッドを設置できる座席でもあり、機内での移動が困難な人(車いす利用者や体の不自由な乗客など)に割り当てられる。 もちろん、どの席に座るかは個人の自由であり、“早い者勝ち”なのだが、なかには 「乗り継ぎ時間が短いので、どうしても座りたい」 と半ば脅しで空いていない席に座る人もいる。 急にこの席を必要とする人も多いので、日系、外資系を問わず、多くの航空会社はフルサービスキャリア(FSC)であれば、あえてこのバルクを搭乗締め切り時間まで残している。そのため、あまり早い時間帯に利用したくないスタッフも多いのだ。少し迷惑である。
“修行僧”の体力問題
気圧の変化、長時間座っていることによる筋肉や関節のこわばり、機内の極度の乾燥などにより、空の旅は想像以上に体力を消耗する。むくみや機内の乾燥を防ぐための客室乗務員の努力は、涙が出るほど徹底している。 長時間飛行機に乗るのはそれだけ大変なことなので、“修行僧”が休みの日にわざわざ往復して、また会社に戻るというのは、 「体力的にきつくないのだろうか」 と思うことがよくある。 しかも前述したように、最短時間で乗り継ぎができるように旅程が組まれているので、少しでも飛行機が遅れると、出発した瞬間から乗り継ぎ地のことを考えなければならず、精神的にもストレスがたまる。最後の便が遅れるならまだいいが、運悪く最初の便が遅れると、乗り継ぎに間に合うかどうかのストレスが一日中つきまとうのだ。 そうなると、肉体的にきつい“修行”であるにもかかわらず、精神的に疲弊してしまう。普段は温厚な人でも、ささいなことですぐ怒るようになる。その怒りの矛先は、航空会社の従業員や隣にいる人に向けられることが多い。
問われる必要性
いうまでもなく、航空会社は、年会費を払ってたくさん飛行機に乗り、上級ステータスを維持するカード会員の皆さまにとても感謝している。筆者もそのひとりである。とてもとてもありがたいお客さまである。 ただ繰り返しになるが、“修行”は肉体的にも精神的にも過酷だ。国内外を問わず出張の多い人なら理解できるが、年に数回の旅行のためだけに心身と時間をすり減らして、本当にそのステータスが必要なのか――もしかしたら、考え直す余地があるかもしれない。
ジーナ(旅行ライター)