『フォールガイ』規格外アクションを支えた日本人スタントマン スーパー戦隊&エイリアンにも参加した浅谷康の奮闘
転機になった『ウルヴァリン:SAMURAI』
1999年からプロダンサーとして活動していた浅谷は、2001年にオーストラリアへわたり、ブレイクダンスの大会で2年連続優勝、オーストラリア代表として国際大会にも出場している。そんな浅谷がスタントマンに転身するきっかけとなったのは、スティーヴン・スピルバーグ監督がプロデュースしたドラマ「ザ・パシフィック」(2010)の撮影だった。
「ダンサーとして活動していた2007年ごろ、スタントマンの人手が足りないということで、オーストラリアで撮影していた『ザ・パシフィック』の現場に呼ばれていたんです。ブレイクダンサーだったので、転んだりするのは得意ジャンルでした。それがスタントマンとしての初仕事で、現地の人からも『スタントをそのまま続けた方がいいよ』と言われました」
浅谷とリーチ監督は、マーベル映画『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)でタッグを組んでいる。同作に参加した後、浅谷は2012年から2015年まで活動拠点を日本に戻した。「『ウルヴァリン』や『ザ・パシフィック』の撮影時に知り合った日本人のスタントマンがいたので、日本ではその方たちと一緒に仕事をさせていただきました。日本の現場も3年間くらい経験できたので、『ウルヴァリン』は転機になった作品かもしれません」
日本では、特撮作品を数多く手がける坂本浩一監督らが所属するアクションチーム「アルファスタント」に参加し、坂本監督がメイン監督を務めたスーパー戦隊「獣電戦隊キョウリュウジャー」の劇場版にも携わった。ビジュアルエフェクトの仕事もこなす浅谷は、「ウルトラマンギンガ」などにも参加している。
「坂本組は仕事がすごく早いです。坂本さんはエディティングまで全てが頭の中に入っているので、無駄な時間がなく、1日で撮る分量もものすごいです。周りのスタッフも長く一緒にやってきている方たちばかりなので、カットがかかったらすぐにカメラが移動して、次のカットを撮り始めたり、撮影スピードも速いです。坂本さんでなければ撮れない業だと思います」