バッターの資質が違えばミートポイントも変わる【張本勲の喝!!】
長距離バッターと短距離バッターの違い
松木コーチの指導もあり中距離バッターとしての道を歩むことができた筆者
長距離バッターと短距離・中距離バッターを分けるものは何か。これは持って生まれた資質というほかない。長打、ホームランを打つためには体力と腕っぷしの強さが必要になるのは当然だが、ならばウエート・トレーニングなどで鍛えればいいというわけではない。打球の角度、とらえるポイントなどは天性のものがあり、足が速い遅い、歌がうまい下手と同じで、資質がないものがいくら練習をしても限界がある。 だからこそ、指導者の力も借りて自分の資質を見極めることが重要になる。私は松木謙治郎さん(元阪神監督、東映コーチほか)の指導もあり中距離バッターとしての道を歩むことができたからこそ、日本最多の通算3085安打、首位打者7度などの記録を刻むことができた。ホームランも結果的に504本を打ち、年間30本以上も5度記録したが、ホームラン王には届かなかった。あの時代のパ・リーグには野村克也さん(元南海ほか)がいたからだ。野村さんは8年連続を含めてホームラン王を9度獲得した大打者だった。 以前、週刊ベースボールのコラムで野村さんがこう書いておられた。「張本には『あの狭い大阪球場をホームグラウンドにしているノムさんに、ホームランで敵うわけがない。俺はホームランをあきらめて、ヒットを打つことに専念するよ』と、冷やかされてしまった」。確かにそんなことを言った覚えがある。「ノムさんが三冠王を獲れたのも運が良かったからですよ」という生意気なことも口にしたかもしれない。野村さんが三冠王に輝いた1965年、私は左手首のケガもあって打率.292に終わっていたからだが、大阪球場の狭さはともかく、ホームランに関しては野村さんに敵わないと感じていたのは本当だ。 逆に長池徳士(元阪急)には、「三冠王は獲れません。張本さんが・・・
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週刊ベースボール