安倍首相も参加した「メーデー」って何?/木暮太一のやさしいニュース解説
──「うーん、なるほどね。でも、敵対してる人が演説するって、なんか変な感じ」 ただ、これは決して悪いことではないと思っています。アベノミクスが正しいかどうかは別にして、お互いの意見を聞くことは大切です。 それに、日本のような成熟した経済では、“黙っていて右肩上がり成長”という時代はもうやってきません。みんなが知恵を絞って、住みやすい環境をつくっていくしかありません。そのために、経営者も労働者も歩み寄りが必要だと思います。敵対するのではなく、お互いの協力が必要です。 かつて、『資本論』を書いたカール・マルクスは、経済が発展し、商品が過剰に生産されていき、結末には「恐慌」が待っていると指摘しました。こうなると、企業が相次いで倒産し、失業率が一気に上昇します。マルクスは、この恐慌を資本主義をリセットするために必要なプロセスと位置付けていましたが、とても痛みを伴うプロセスです。企業・労働者の双方にとって、とてもダメージが大きくなります。 そうならないために、普段からお互いの意見を聞き、歩み寄ることが必要だと思います。 ---------- 木暮 太一(こぐれ・たいち) 経済ジャーナリスト、(社)教育コミュニケーション協会代表理事。相手の目線に立った伝え方が、「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・大学などで多くの講演活動を行っている。『今までで一番やさしい経済の教科書』、『カイジ「命より重い!」お金の話』など著書36冊、累計80万部。最新刊は『伝え方の教科書』。