自民大敗の衆院選「党本部の責任大きい」「独裁、それをやった」 自民・高市早苗氏が苦言
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相は20日発売の月刊誌「Hanada」のインタビューで、10月の衆院選直前に派閥パーティー収入不記載事件に関係した候補を非公認するなどした党本部の対応に苦言を呈した。「とんでもなくひどい話だ。自民党が自ら不記載問題を選挙の主要争点にしてしまった」と指摘し、大敗した結果について「候補者だけの責任では決してない。党本部の責任も間違いなく大きい」と述べた。 【ひと目でわかる】報道各社の世論調査(内閣・政党支持率) ■公示6日前に報道が不記載一色に 不記載事件を巡っては、岸田文雄前首相(前総裁)の下、今年4月に党員資格停止を含む処分が39人に下された。一方、9月に新総裁に就いた石破茂首相率いる新執行部は10月15日の告示を控えた9日、党則に規定する選挙非公認処分より軽い処分だった萩生田光一元政調会長らについて、衆院政治倫理審査会(政倫審)で弁明がなかったことなどを理由に非公認とした。 高市氏は「新たな処分を下したわけだ。最もやってはならない」と述べ、自身も出馬した9月の総裁選を挙げて「私は『岸田総裁の下で党内議論を重ねて決着した処分を新総裁がひっくり返すのであれば、それは独裁だ』と言った。それをやってしまった」と語った。 「公示の6日前から報道が不記載問題一色になった。突然、非公認通知を受けた候補者が困惑する様子などが繰り返し報じられるなど、不記載の問題を選挙の争点にしてしまった」と述べ、選挙戦略上の観点からも疑問視した。 ■石破首相に〝エール〟も 落選した候補を次期衆院選の公認候補予定者となる支部長に早期に選任すべきだとも強調。「一生懸命頑張っていて、『次こそは』と高い志を持った方々を早く支部長に選任してもらいたい」と語った。 来年夏の参院選の応援演説の日程は2月まで埋まっていると明かし、「歯を食いしばって、回ろうと思う。1人でも多く勝ってもらわないといけない」と強調した。 首相の政権運営については、「総裁選で訴えたことを封印しているようにみえる。非常にもったいない。所信表明演説を聞いても、新たに何をしたいのかが見えてこない。防災庁の創設だけはわかったが…」と指摘した上で、「総裁選で訴えた政策を堂々と打ち出し、やりたいことを存分にやればいい」と〝エール〟も送った。(奥原慎平)