「歯がない家族」がいる人必見 オールオン4のトラブル事例とリスク回避法【歯科医監修】
歯科医に聞く オールオン4でよくあるトラブル事例とその原因
編集部: オールオン4で起こりうるリスクやトラブルを教えてください。 黒澤先生: 最も避けるべきリスクは、インプラントの埋入中に神経や血管を傷つけてしまうことです。オールオン4はインプラントを埋入する角度が従来とは異なるため、高い診断力と技術力が求められます。 これらが不十分で埋入の操作を誤ってしまうと、周囲の血管や神経を傷つけ、術中の大量出血や術後の痺れ・麻痺などのトラブルを引き起こすおそれがあります。 編集部: そのほかに、どのようなリスクやトラブルがありますか? 黒澤先生: オールオン4のトラブル事例として多いのは、インプラントの脱落です。オールオン4は少ないインプラントで最大12本の歯を支えているので、その負担をバランスよく分散して設計しないと過重負担によりインプラントが脱落してしまうことがあります。 また、脱落に関しては治療後のインプラント周囲炎にも注意が必要です。ただ、いずれのトラブルもその原因の根底にあるのは「歯科医師の説明不足」だと思います。 編集部: つまり、トラブルの多くは事前のコミュニケーション不足が起因しているということでしょうか? 黒澤先生: そうですね。オールオン4で実際に起こるトラブルのほとんどは、治療前に患者さんと歯科医師の認識のギャップが埋められていないことがその発端となっています。 なぜそうなってしまうかというと、治療のデメリットやリスクをあらかじめ患者さんにきちんと伝えていないからです。 オールオン4は確かに良い治療ですが、デメリットやリスクなどネガティブな点についてもきちんと説明しないと患者さんも過度な期待を抱いてしまいます。その期待に応えられなかったことが、結果としてトラブルへ発展してしまうわけです。
オールオン4でトラブルを回避するために事前に知っておきたい注意点とは?
編集部: 先述のトラブルを回避するためには、どのような点に注意したらよいでしょうか? 黒澤先生: まずは、しっかりコミュニケーションが取れて信頼関係を築ける歯科医のもとで治療を受けることが重要です。検査結果や治療内容について時間をかけて丁寧に説明してくれる歯科医をぜひ探していただきたいと思います。 さらに、説明ではメリットだけでなく、リスクやデメリットについてもきちんと伝えてもらうことが大切です。くわえて、その内容にご家族や周囲の方が納得しているかも、トラブルを回避するうえでは非常に重要なポイントだと思います。 編集部: 本人だけでなく、家族からも同意を得ることも大切なのですね。 黒澤先生: はい。オールオン4はご高齢の方がご希望されるケースも多いので、ご家族や周囲の方にも話を聞いてもらい、納得していただいたうえで治療を始めたほうがより安心だと思います。 編集部: そのほかに、注意しておきたい点はありますか? 黒澤先生: オールオン4で歯科医院を探す際は「症例数や実績が豊富か」「CTやオペ室などの設備が整っているか」「メンテナンスをきちんとやってくれるか」もぜひチェックしていただきたいと思います。 編集部: 最後に、読者へメッセージをお願いします。 黒澤先生: 歯科医院選びではドクターと信頼関係が築けることにくわえ、「長く通えるところか」という点も重要なポイントとなります。患者さんの中には技術に定評があるという理由で他府県のクリニックを選択される方も少なくありません。 しかし、インプラントは入れたら終わりでなく、治療後も歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることが必須です。「遠すぎてメンテナンスに通えない」ということにならないよう、条件に合うクリニックを通えるエリア内で探すことをおすすめします。