井上尚弥 キッズのボクシング体験で父への思い明かす「本当に尊敬でしかない。この人は超えられない」
ボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)=大橋=、WBO世界バンタム級王者・武居由樹(28)=大橋=らが28日、子供たちにプロボクシングの世界を体験してもらう「ドコモ未来フィールド 井上尚弥選手&大橋ボクシングジム企画」を横浜・大橋ジムなどで行った。 【写真】熱いまなざしで子供にサンドバッグ打ちを指導する井上尚弥 イベントには小学1~6年生を対象に17組34人が参加。尚弥と武居は昼食から参加し、子供たちと会話しながら食事を楽しんだ。サンドバッグ打ちでは2人が子供たちに指導し、尚弥は手取り足取り打ち方を教えて「いいね!」などと声がけも。武居がサンドバッグ打ちとミット打ちを披露すると歓声が上がった。質疑応答もあり、最後は参加者と笑顔でハイタッチした。 子供たちや保護者との質疑応答で、尚弥は次のような質問に答えた。 -憧れの選手は 「憧れの選手はいません。誰かに憧れてボクシングを始めたわけではなく、ただ強くなりたい気持ちだけで始めたのがボクシング。父がボクシングをやっていたその延長線上でやった。その理由から今でも憧れている選手はいないかな」 -ルーティンは 「朝は9時からロードワークをして10時くらいに終わって、そこからシャワーを浴びて、お昼ご飯を食べる。夕方の練習までは、トレーニングに向けて体力温存して休憩。夕方の練習をして、終わって家でご飯を食べるか、帰る前に拓真や浩樹とご飯を食べて帰る、平日はだいたいそんな感じかな」 -毎日の練習は 「基本的なジャブとワンツーとシャドー、サンドバッグ、ミット打ち。基本的な、みんなやっているような練習を毎日地道に小さい頃から続けています」 -モチベーションを維持する秘訣(ひけつ)は 「ボクシングで言えばボクシングを好きであり続けることそれが一番。ボクシングを好きである以上追求していきたい気持ちがすごく高くなる。20歳で世界チャンピオンになったが今が一番高い。ボクシングの深さがより分かってきた。その中でキャリアあと数年と言うところで、より追求していきたい思いが30歳になってより増している。というところからモチベーションが高い。ボクシングが好きではなかったらこういう気持ちはなくなる。やっていることを好きであり続けることが一番だと思う」 -子供が集中できないときに切り替える方法などは 「今は意識として変えられるが、経験上1年生からボクシングを父と二人三脚でやってきた中で言うと、小学生の間は割と自由に練習していた。感覚的にそういったもの(集中できない状態)が見えたら、伸び伸びとやらせるのが一番だと思う。そこで無理にやらせてしまうとボクシングが嫌いになるリスクもある。ボクシングを好きでい続けさせる方法を考えた方がいい」 -(父の井上真吾トレーナーと)親子でやってきた中で、どの部分を取り入れたいか。逆に反面教師の部分は 「ボクシングを教えてもらうにあたって、こうしないでおこうという姿は一つもない。本当に尊敬でしかない。小1から始めてきついこともあったが、なぜ乗り越えてこられたかというのは、一緒に父もきつい練習をやっていたから。自分らが泣きべそをかいて、無理だと思ったときも父はそれ以上にやる。基本、日曜日は練習が休みの日だったが、僕らに言わずに走りに行く。ボクシングでも父の塗装業でもそうだが、自分たちから見てもすごいと思える姿を見せていたから尊敬でしかない。何を言われても納得してやれる。SNSでもよくつぶやくがやっぱりこの人は超えられない。そんなところが一番なのかな」 イベントを終えた尚弥は「サンドバッグを打っている時や、ミットを打っている時の子供たちの表情がすごく生き生きとしていて、それがすごく印象的でしたね。それ(ボクシングの普及)も大事ですけど、その子たちにとって今日がいい日になればいいとすごく思いました」と振り返った。 ◇ ◇ イベントでは大橋秀行会長と八重樫東トレーナーの元世界王者コンビがトークショーを行い、大橋会長は12月下旬とされている尚弥と武居の次戦について「12月の後半の方に井上尚弥、武居由樹、その他、楽しいメンバーが、びっくりするような試合を予定しています。東洋王者、日本王者などまだ正式決定はしていないが、いろいろ考えてやっています」と話していた。