ワンデー開催のスーパーGT第7戦予選で起きた“正式結果の改訂”。プロモーターのGTA「組織としてイレギュラーのない状況づくりを」
10月にオートポリスで開催されたスーパーGT第7戦は、土曜日の悪天候によって日曜日に予選・決勝を行なうワンデー開催となった。ファン・関係者の双方にとっても慌ただしい1日となったが、その中でGT300クラスの予選正式結果が改訂されるという一件があった。 【ギャラリー】スーパーGTを彩った“カルソニックブルー”のマシンたち この日は朝8時から計時方式での予選が行なわれていき、まずGT300のマシンがアタックに向かった。30分間のセッションが終了してチェッカーが出されると、続いてGT500のマシンがコースインして30分のセッションを戦った。 その後10時30分に予選の暫定結果が出され、11時15分には正式結果が出された。そこから程なくして決勝前ウォームアップ走行が始まり、スタート進行を経て、13時20分から決勝レースと慌ただしくスケジュールが進んでいったが、そんな中で12時30分付けでGT300クラスの予選正式結果の改訂版が発行された。 これにより、当初5番手につけていた87号車METALIVE S Lamborghini GT3が9番手に、6番手につけていた18号車UPGARAGE NSX GT3が13番手に落ちるなど、順位に変更があった。上記の2台はGT300の中で一番最後にベストタイムを更新した車両であったが、そのタイムは認められないということになったのだ。なお、このように結果が改訂された理由については「予選終了時間の誤認」と公式通知に記されている。 正式結果が出された後にリザルトが変わるという異例の事態に対し、その当事者でもある18号車UPGARAGEの小林崇志はSNSにて「正式結果を変えられるなら正直何でもアリです。何のための正式結果なのか。レース、レース関係者、ファンに対する冒涜、侮辱です」と強い言葉で非難していた。 先日行なわれた第8戦もてぎでも、GTアソシエイション(GTA)の定例記者会見の中でこの一件に関して質問が飛んだ。坂東正明代表は、プロモーターであるGTAはJAFや開催サーキットなどからの派遣スタッフで構成される審査委員会に対しては中立の立場をとらなければならないため、「あまりプロモーターが“裁判所”に文句を言っていると、見方が中立でなくなってしまうので、あまり口を出さないようにはしていますが……」としつつも、今後に向けて必要なアプローチについて見解を述べた。 特にオートポリス戦は、予選と決勝を同日に行なうワンデーフォーマットに急遽スケジュール変更され、予選も通常とは異なる方式で行なわれるなど、イレギュラーな状況であったことは確か。坂東代表はその中でも「イレギュラーのないような状況下を作る」ことが重要だとした。 「ワンデー開催で時間がない中での予選、そしてグリッド発表でしたが、その中で『どこからがチェッカーで、どの車両からチェッカーを受けたのか』などといった部分の精査の仕方。そういった部分から出た問題だったと思います」 「今回は競技長に対するペナルティという形になりましたが、その結果表にサインしているのは審査委員ですし、責任は決してひとりだけのものではないと思います。ワンデー開催というイレギュラーな状況下でのシミュレーションができていなかったというところだと思いますので」 「あとは人の部分ですよね。チェック機能をより増やしていかないといけない。全体的な組織として、イレギュラーのない状況下を作るようにしないといけません。今後はタイムスケジュールのあり方や、チェック機能をよりしっかりしていく必要があります」 また坂東代表は、今後審査委員会が若返っていく中で同じようなミスが起きないように、今回のような事例を貴重な事例として記録し、引き継いでいく必要があると語った。 「クオリティを上げるため、今回のような課題の結論を、若い者に引き継いでいく審査委員を作り上げないといけません」 「トラブルをどういう風に解決したのか、そういう事例を作った上で、それを教科書として次の世代に渡してあげないといけない。そういうものをきちっとしていきたいと思っています。チーム側の言っていることはもっともだと思いますので、反省をしながら次に進めていきたいと思っています」
戎井健一郎