立民は「影の内閣」にふさわしいビジョン示せ、議論活発化へ「党首討論」開催を 逆質問されてしどろもどろ…思わぬ反撃も
【ニュース裏表 伊藤達美】 23日の国会会期末を控えて、党首討論が行われるかどうかが注目されている。 【画像】次期衆院選での「政党議席予測」(5月27日時点) 4月の与野党国対委員長会談で「今国会中の開催」が合意されているというが、実際に開催できるかどうかは、立憲民主党の熱意次第だろう。党首討論は野党第一党のための制度と言って過言ではない。その他の政党にとってメリットは少ないからだ。 党首討論の導入に努力したのは、立民の前身である民主党だ。この制度は英国議会の「クエスチョンタイム」を模して作られている。 野党第一党の党首を「影の首相」のように待遇する仕組みで、実態を超えた〝厚遇〟といえる。そこに「政権交代の機運を盛り上げたい」という、当時の民主党の思惑があった。新進党分裂で野党第一党に躍り出た民主党が、自民党を説得して勝ち取った「国会改革」の成果といえる。 しかし、政権交代への意欲がなければ党首討論を開催する必要は薄れる。開会実績がそれを雄弁に証明している。 2000年の制度導入から政権交代までの9年間の党首討論の開会数は47回。年平均5回以上開かれていたことになる。民主党が熱心に働きかけたからだ。反対に民主党政権下では、野党第一党だった自民党が開会を求め、3年余の間に10回開かれている。 ところが、民主党政権崩壊で政権交代の熱が冷めたのか意欲は一気に低下した。13年から23年までの11年間で11回。立民が結成された18年以降に限って言えば4回しかない。党首討論で自らの政策をアピールするより、予算委で政権の「落ち度」を追及する方を優先したからだ。 予算委は長時間、首相を拘束して一方的に追及できる。これに対して党首討論は時間も短い。また、「質疑」ではなく「討論」なので、首相にも「質問権」が認められており、思わぬ反撃を受ける可能性がある。 実際、21年6月の党首討論では、当時の枝野幸男代表が、菅義偉首相から、立民の掲げる「ゼロコロナ政策」について逆質問されてしどろもどろになった。「追及型」の質問を得意とする枝野氏にとって、討論スタイルは苦手なのかもしれない。 その後、党首討論は一度も開かれていない。はたして、現在の泉健太代表はどうか。