三度目の『SANRIO Virtual Festival』はボリューム満点 VTuber業界では活動終了が相次ぐ
■開催期間は1ヶ月!「バーチャルテーマパーク」へと進化した『SANRIO Virtual Festival』 【画像】『SANRIO Virtual Festival 2024』に出演予定の豪華アーティスト陣 『VRChat』に三たび、ピューロランドがやってくる。サンリオによるメタバースイベント『SANRIO Virtual Festival 2024 in Sanrio Puroland』の開催が発表された。 今回で三度目の開催となる人気イベントだが、その内容は大幅にパワーアップしている。開催期間は2月19日~3月17日と1ヶ月近くに拡大し、イベント内容も音楽イベントから「バーチャルテーマパーク」へと変化。「期間中、いつ来ても楽しめる場所」として、より気軽にアクセスできるイベントになった。 前回も実施されたバーチャルパレードは3作品に増加。出演アーティストは今回から完全にバーチャルアーティストへ振り切り、人気VTuberから気鋭のアーティストなど、今回もエッジの強い選出となっている。また、前回大好評だったクリエイターパフォーマンスは有料コンテンツとなり、こちらも名だたる面々が選出されている。アンダーグラウンドなクラブエリア「ALT3」も健在だ。 VRコミュニティとの連携もさらに強化され、参加団体は増加し、コラボイベントの開催数は前回比で3倍にもなった。有名なアーティストを招くだけでなく、『VRChat』で育った才能や熱意にスポットライトを当てようとする姿勢は健在だ。よりスケールアップした「バーチャルピューロランド」の一大フェスが、どんな熱気を生み出すか。一個人としても、今から楽しみだ。 ■沖縄にフィーチャーしたバーチャルイベントが開催 17日までの『バーチャルマーケット2023 Winter』と入れ替わるように、沖縄をフィーチャーしたバーチャルフェスイベント『OKINAWA JAPAN VIRTUAL FES 2023』がスタートした。 これは沖縄のご当地VTuber・根間ういの運営を手掛ける、株式会社あしびかんぱにーによるイベントで、アトラクション、展示、音楽ライブなどを通じて「沖縄の魅力」をとことん堪能できるというのがコンセプトだ。とくに23日開催の音楽ライブでは、根間ういのほかに富士葵、ピーナッツくん、さらにはガチャピン・ムックのコンビまで出演予定と、おもしろいライブになりそうだ。 今回、筆者は運営のご好意で『OKIVFES』の会場を先行体験する機会を得た。さっそく会場内をいろいろと見てきたが、沖縄の特産物や文化を知ることができるコンテンツ、沖縄ゆかりのアーティストによる展示など、「沖縄を全力で楽しむ」という触れ込みにふさわしい見どころであふれていた。 手の込んだ「三線(さんしん)」の演奏ギミックや、しっかり怖い本格派のお化け屋敷など、作り込まれたコンテンツが多かったのも印象的だ。こちらのフェスは24日までの開催となるので、気になる方は覗いてみるとよいだろう。 また、比較的前からその存在が告知されていたバーチャル旅行プラットフォームアプリ『ANA GranWhale』が、12月11日にリリースされた。開発には『ファイナルファンタジーXV』のディレクターを務めた田畑端氏の会社・JP GAMESが関わり、音楽監修は葉加瀬太郎氏が担当ということで、「ANA肝いり」のプラットフォームだ。 できることは「アバターでいろいろな場所へバーチャル旅行する」というシンプルなものだが、空間そのもののクオリティは高く、スマホでアクセスできることもあって「手軽なメタバース」としてできあがっている。ショッピングやANAのマイルが貯まる機能も備わっており、「現実と地続きなプラットフォーム」として発展していくか、今後の動向に注視したいところだ。 ■代アニに「VTuber科」が誕生 『にじさんじ』からは勇気ちひろ、安土桃が卒業へ いよいよVTuberが本格的な「職業」へと発展していくかもしれない。代々木アニメーション学院が、2024年4月より「VTuber科」を設立すると発表したのである。これはその名の通り、VTuberとして活躍する人材を育てるための学科のようだ。 同校はVTuber業界を「国内はもちろん、海外でも熱狂的なファンがいるほど大きなエンターテインメント産業」と捉えており、『にじさんじ』を手がけるANYCOLOR株式会社がカリキュラム監修、業界セミナー等の実施に携わっているとのことだ。「潜在的なVTuber候補」の育成を通して、VTuber業界の拡大発展に寄与せんとする姿勢からは、それだけVTuberが大きな存在になったことがうかがえる。 一方、新たに入るものもいれば、去るものもいる。奇しくも上記代々木アニメーション学院・VTuber科発表と同日に、『にじさんじ』から勇気ちひろと安土桃、2名の卒業が発表された。 勇気ちひろは『にじさんじ』1期生であり、この世代では初の卒業者となる。VTuber黎明期、右も左もわからない中、懸命に活動を続け、FPSなどの領域で注目された立役者の一人だっただけに、卒業の報には衝撃が広がった。安土桃も、かつて存在した「にじさんじSEEDs」という枠の1期生であり、『にじさんじ』に大きな広がりを持たせる一助を担った一人だ。『にじさんじ』の節目に立ち会った人が、相次いで離れることになる。 この二人以外にも、VTuberの活動終了は続いている。『KMNZ』のLIZや餅月ひまり、そして『にじさんじ』では相羽ういはが、相次いで活動終了を表明。12月にこうした報告が集中的におこなわれること自体は、これまでもある程度見られた傾向だが、それにしてもビッグネームの活動終了が続く。とはいえ、それが本人にとって納得のいく選択であるならば、止める理由はない。いまが最善の選択とは限らないならば、新たな門出を祝うのが筋だろう。
文=浅田カズラ