山口公明代表が習近平氏に会えなかったのは「いい結果」 専門家が解説
蔡奇氏は日本の官房長官的な存在
飯田)彼は中央弁公庁主任ですが、このポストは、習近平氏の懐刀的なところもあるのでしょうか? 中川)そうですね。党と国は別であり、党の方が上なので、日本の役職で例えることは難しいのですが、イメージとしては官房長官ぐらいの側近です。 飯田)側近中の側近で、ダイレクトに話ができる人。 中川)序列2位の李強氏や3位の趙楽際氏は、日本で言うと議長です。4位の王滬寧氏は参院を担当するような感じです。そういう意味でも、蔡奇氏は習近平氏が最も話せる人なので、実務的にはいいと思います。
岸田総理からの親書を山口代表が蔡奇氏を通して習近平氏に渡す
飯田)山口代表は今回、仙台市長からのパンダの誘致を求める親書を持っていきましたが、出発前の報道では、岸田さんの親書も持っていくという話がありました。それに関する報道は少ないですが。 中川)渡した可能性もあります。中国側も目立たせない形で、上手くやっているのでしょう。日本国内も中国国内も騒がせず、上手く実務で進めるという意味では、絶妙な感じですね。日中首脳会談は、両方ともパフォーマンスであることを認識しながら行われた。しかし、岸田首相の本音としては親書を持っていってもらい、蔡奇氏が受け取って習近平氏に渡すというような、極めてしっくりくる流れだと思います。
習近平氏に会えなかったことはいい結果
飯田)我々のイメージとして、今回の日中首脳会談はある意味の塩対応的なところがあり、それに気を悪くした中国側が「そんな態度なら習近平国家主席には会わせない」という流れになったのかと思いました。しかし、むしろ実際は実を取ったかも知れないのですね。 中川)実務的には、中国側も日中韓首脳会談をやりたいという話があり、処理水の問題に関しても、自分たちが非科学的な考えで攻撃していることを、彼らはわかっているわけです。自分たちの負け戦だと。 飯田)無理筋だとわかっている。 中川)日本との話し合いをするなかで、親書を交わしながら実務で進めていく。親書の交流ができれば、中国側は外交部に指示を出し、日本側は外務省が対応する形で、官僚マターに落ちていくのです。そういう意味では、「習近平氏に会えなかった」という中途半端な感じで終わっている状態は、逆にいいと思います。