「パートナーと住みたい」LGBTQの部屋探しに立ちはだかるハードルとは
■普通に扱われることがうれしい
それから2年。もう少し便利な所に引っ越したいと考えた松岡さんカップルは、再び部屋を探しました。「男性の担当者の方でした。大丈夫かなって思いながら、今回は関係性を聞かれたときに『パートナーです』と答えました」 担当者は「そうですか」と答え、特に深掘りすることもなく、淡々と男性同士のカップルが住める部屋を探してくれたといいます。 「カップルならベッド1つでいいから1LDKでもいいですねーなんて言いながら、本当にスムーズに話が進んで。こっちがあっけにとられるくらい」「こんな普通に扱われることに、ちょっとほっとするし、うれしかったです」
■ハードルはいくつも
前回から2年たち、不動産仲介業者の対応には変化を感じた部分もある一方、物件のオーナーや管理会社の扱いにはまだまだハードルを感じることもあったといいます。 「担当の方が『日本人男性2人なんですけど』とオーナーさん側に問い合わせるとすぐ断られてしまったり」「やっぱりまだまだ偏見が根強く残っているなという感じでした」 パートナーシップ制度についても、そもそも制度自体が浸透していないと感じたといいます。
■家をめぐる環境、実態は
大手の物件検索サイトでは、条件の項目に「LGBTQフレンドリー(注:そうしたカップルに優しい、理解があるという意味」と表記するなど、受け入れに積極的な物件を見つけやすくするなど取り組みも進んでいます。 松岡さんはありがたいと思う半面、同性カップルへの理解が進んでいない現実も感じると話します。「”ペット可”みたいな感じでLGBTQフレンドリーというチェック欄があったりしますが、やっぱりちょっとおかしいというか。フレンドリーとかではなく、そもそも差をつけていること自体が問題だという認識を多くの人が持ってくれたらいいなと思います」 東京・港区のある不動産仲介業者によると、LGBTQの当事者だと明らかにして物件を探しに来るカップルは月に3、4組ほどだということです。一方、港区ではパートナーシップ制度が導入されていますが、同性カップルに紹介できる物件は全体の1~2割ほどにとどまるといいます。 不動産仲介業者担当者「社会全体では理解は進んでいるとは思うけれど、家となると、やはり現実的にはまだまだ厳しいところがある」