イスラエル軍、ハマス指導者シンワル氏を殺害-戦い継続と首相
(ブルームバーグ): イスラエル軍は、昨年10月7日の同国への奇襲攻撃を首謀したとされるイスラム組織ハマス指導者ヤヒヤ・シンワル氏を殺害したと17日に発表した。ハマスの指導部に大きな空白を生じさせた今回の殺害を機に、米国はパレスチナ自治区ガザでの戦争終結を終わらせるよう、イスラエルのネタニヤフ首相にあらためて圧力をかけた。
イスラエル軍によれば、数週間前から動静が途絶えていたシンワル氏は、16日にガザ南部で他のハマス戦闘員2人と共に殺害された。
事情に詳しい関係者によると、イスラエル軍が通常のパトロール中に建物内で不審な動きを発見。戦車がその場所に砲撃を加えた。シンワル氏がその標的の1人だったことをイスラエルが把握したのは17日になってからだったと関係者は匿名を条件に話した。
シンワル氏の死亡により、ハマスには明確な後継者が不在となった。10月1日のイランによるミサイル攻撃に対するイスラエルの報復措置を世界が警戒する中でネタニヤフ首相は、7月のハマス政治指導者イスマイル・ハニヤ氏暗殺と、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラ指導者ナスララ師の先月の殺害に続き、再び大きな戦果を収めた。
ただ、それから数時間以内にイスラエルと米国の間には、今後の方針を巡り亀裂が生じた。ネタニヤフ首相は、昨年10月7日の奇襲攻撃でハマスに捕らえられた人質全員が解放されるまでイスラエルは戦い続けると主張。「われわれの目の前の使命はまだ完了していない」と述べた。
一方、米国のバイデン大統領とハリス副大統領は、それとは反対の行動を呼びかけた。両氏は別々の声明で、シンワル氏殺害をガザ紛争終結のチャンスと位置づけた。パレスチナの民間人犠牲者数の多さを嘆き、来月の米大統領選挙を前に争点の一つとなっている紛争の解決を目指している。
バイデン大統領は声明で「ガザ地区でのハマス支配なき『次の日』への機会だ」とし、「この戦争を完全に終わらせる」ために近くネタニヤフ氏と話す見通しだと付け加えた。ハリス氏も同様に、シンワル氏殺害は「ガザ地区での戦争を最終的に終わらせる機会をもたらす。そして、イスラエルが安全になる形で戦争を終わらせなければならない」と選挙遊説先で記者団に率直に語った。