7&iHDがきょう決算、企業価値向上策検討進む一方業績に厳しさも
(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングス(HD)は午後、3-8月期(第2四半期)決算を発表する。
カナダのアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けている同社は、自社主導での企業価値向上が可能なことを示すため、非中核事業の売却など検討を進めている。
足元でこうした内部の議論について報道が相次ぐ。10日早朝にはスーパー事業や外食事業を傘下とする中間持ち株会社の新設と外部資本を導入した上で株式上場を目指していると、読売新聞が報じた。
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10日夕の決算会見には、買収提案後初めて井阪隆一社長が登壇する予定だ。買収提案への受け止めや、企業価値を高める施策についてどのように説明するかに注目が集まる。
7&i株への期待は足元で膨らんでいる。
9日にはクシュタールが1回目の買収提案額を約2割上回る7億円規模の再提案をしていたことも明らかになった。こうした材料を手掛かりに、10日の取引でも7&iHD株は続伸し、一時前日比2.5%高の2393円を付けた。買収提案が明らかになる前の8月中旬と比べると3割超高い水準だ。
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ただ悪材料も聞こえ始めている。7&iHDの3-8月期営業利益が前年同期に比べ2割強減の2000億円を下回ったとみられると日本経済新聞が9日夕報じた。
岩井コスモ証券の菅原拓アナリストは、買収提案への対応や構造改革に向けた取り組みが最近の主な関心になっている可能性があると指摘。業績悪化の報道がある一方で、企業改革が続いてプラスに働きそうだとの思惑が続いたのではないかと述べた。
物価高など主力のコンビニ事業を取り巻く環境は、国内外ともに厳しさが続く。業績改善に向けた打ち手が決算説明会で示されるかについても、関心が集まる。
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Koh Yoshida