五輪予選前最後の試合で完勝したU-23日本代表。バランスの良い中盤がウクライナを封じ込める
もちろん、ウクライナもシヘイロフやセンターバック・コンビからの長いボールを使ってチャンスを作る場面もあったし、馬場のミスを拾われてピンチを招いた場面もあった。
だが、強い雨が降りしきるコンディションを考えれば、テクニカルなミスは仕方のないこと。むしろ、試合中も強い雨が降り続いていたことを考えれば、ミスは最小限で防ぐことができた(これだけの雨でもピッチに水が浮くこともなかった。スタジアムの芝生の状態にも感謝しなければならない)。
完勝した日本代表に関して、強いて課題を探すとすれば、やはり決定力だろうか?
前半からチャンスをいくつも作ったものの、ゴールはなかなか生まれなかった。もちろん、シュート場面では体の大きなDFが寄せてくるので難しかったろうが、シュートが浮いてしまう場面が目立った。
後半の2ゴールはともに幸運な形ではあった。
先制点は、右CKからのボールをサイドバックながら187センチと長身の関根大輝(柏レイソル)がヘディングし、そのボールがゴールポストに当たったところを佐藤が詰めて頭で決めたもの。
76分の追加点は佐藤が入れたボールが相手DFに跳ね返され、その跳ね返りが飛び出してフリーになっていた田中に渡ったものだった。
ただ、1点目に関して言えば、左サイドを佐藤、荒木、細谷真大(柏レイソル)が完全に崩して荒木が放ったシュートをGKのキリル・フェシュンが弾いて獲得したCKだったし、2ゴール目にしても、日本が押し込んで連続してチャンスを作っていたからこそ、相手DFにコントロールミスが生まれたわけで、単なる幸運だけで生まれた得点ではなかった。
大岩剛監督は、ウクライナ戦ではマリ戦から先発を10人変更し、そして、2戦を通じてフィールドプレーヤー全員に出場機会を与えた。
相手も違えば、コンディションも違う2試合を観察してアジアカップに臨むメンバーを23人に絞り込むの大変な作業だろう。今回は海外組5人を招集できたが、アジアカップで誰を招集できるかは、所属クラブとの今後の交渉にかかっている。そして、さらに予選を突破した場合にはオーバーエイジの招集問題があるし、A代表でプレーする鈴木彩艶(シントトロイデン)や久保建英(レアル・ソシエダード)の扱いも考えなければならない。