難所突破へ“トンネルマンの挑戦” 5階建てビルほどの岩塊 大量の土砂流入 北海道新幹線「札幌延伸」延期の要因は難航する工事 「開業時期は幅を持ってしか言えない」
北海道新幹線「札幌延伸」の延期はトンネル工事の遅れが主な原因とされている。 一体、現場で何が起きているのか、「難所」の突破に向けて挑戦する最前線を取材した。
北海道新幹線の札幌延伸延期
札幌延伸に向けて進むトンネル工事。 行く手を阻むのは5階建てのビルに相当する巨大な岩の塊や、水が噴き出し流出した土砂など。 延伸のカギを握るトンネル工事。難所を突破できるのだろうか。 「2030年度末の開業が極めて困難という判断に至った。数年単位の遅れと理解してもらいたい。予期せぬ巨大な岩塊に遭遇し、掘削に難航している工区がある」(鉄道・運輸機構 藤田耕三理事長) 5月8日、北海道新幹線の建設主体である鉄道・運輸機構の理事長が、目標としてきた2030年度末の札幌開業を延期すると国に正式に伝えた。 遅れは少なくとも数年。 具体的にいつ開業できるのかは示されなかった。 新幹線開業にあわせて再開発が行われてきたJR札幌駅前では、現在工事中の商業施設やバスターミナルの完成の遅れが心配される。 「オール北海道で来ました。要望書を提出する」(鈴木知事) 一体、開業はいつになるのか。 鈴木知事や秋元札幌市長らは急きょ上京し、斉藤国交相に地元への丁寧な説明と早期開業を求めた。 「地元への丁寧な説明と一日も早い開業に向けた取り組みを強くお願いした」(鈴木知事) 「先の見通しが示されないまま延期となって困惑している。札幌は開業に合わせて再開発、民間の投資が行われているので混乱している」(秋元札幌市長)
トンネル工事の難航
現在、新函館北斗から札幌までの212キロの区間で工事が進んでいる北海道新幹線。 その8割がトンネルだ。 札幌開業が延期された要因は、このトンネルの工事が難航しているためだ。 岩盤を爆破したり重機のドリルで掘削するなどして進むトンネル工事。 周囲の地盤の状況に合わせて工事の方法が変わる。 札幌までの区間は火山活動が活発な地域や柔らかく崩れやすい地層が多いため、いくつもの工区で工事が難航している。 「巨大な安山岩の岩塊にあたって掘削が止まった」(鉄道・運輸機構 山口真基さん) 最も遅れている現場。 それが倶知安町とニセコ町の間の「羊蹄トンネル」だ。
【関連記事】
- “北海道新幹線”の札幌市への延伸 2030年度末の目標を正式に“断念”…新たな開業時期示せず「数年程度の遅れ」 専門家からは再開発への影響指摘も
- 新幹線 “函館駅乗り入れ”―大泉潤 函館市長「札幌延伸と同時に開業」160億円規模で実現可能との調査結果 専門家「『どんな街をつくりたいのか』行政手腕問われる」
- 北海道ボールパークFビレッジ 開業から1年 “仕掛け人”が語る未来予想図 「高級ホテル」に「オフィスビル」 来場者年間700万人を見込む
- 札幌駅直結地下街「アピア」にOPEN 新店舗3店!プレミアムクリームパンにトレンドアパレル店【北海道発】
- JR札幌駅直結「エスタ」 北海道新幹線延伸工事で45年の歴史に幕 営業最後の日 別れ惜しむ人の姿【北海道発】