素晴らしい結末…最後に活きた意外な設定とは? ドラマ『西園寺さんは家事をしない』最終回考察&解説レビュー
『西園寺さんは家事をしない』が描く多様性を尊重する姿勢
ただ、人は何かと関係性に名前をつけたがるものだ。西園寺さんと楠見くんが籍を入れていないことを知ったら、「結婚しないの?」とか、「付き合っているわけではないの?」とか、野次馬心から訊いてくる人もいるだろう。もしかしたら、「籍を入れた方がいいんじゃないの?」なんて、おせっかいを焼いてくる人もいるかもしれない。 でも、本人たちが幸せだと言うのなら、それでいいのではないだろうか。わざわざ、“普通”の枠組みのなかに詰め込もうとする必要はない。もしも、西園寺さんや楠見くんが、自分たちの関係性に悩んでいると言うのなら、相談に乗ってあげればいいけれど、そうでないのなら放っておく。 自分と違う価値観を持っている人を、受け入れようとする姿勢は大切だ。でも、それが相手を苦しめることにつながる可能性もある。たとえば、西園寺さんと楠見くんの価値観が理解できない人は、「なんで、籍を入れないの?」「形にこだわらないなら、籍を入れたってよくない?」などと、絶え間なく疑問が浮かんでくるはずだ。 でも、個人的には、その疑問をわざわざぶつける必要はないんじゃないかと思う。干渉せず、ある程度放っておくというのも、多様性を尊重することにつながる気がする。
“ルカに霊感がある”という設定が最後に活きたワケ
「いないけど、いる!」 これまで、西園寺さんの姿に瑠衣(松井愛莉)を重ね、ママとの思い出が上書きされてしまうようで怖くなっていたルカだが、最終回では西園寺さんと楠見くん、そして瑠衣の3人で笑い合っている姿を見ることができた。初回放送からの“ルカに霊感がある”という設定が、ここにきて生きてくるとは…。 いつか、西園寺さんと楠見くんが結ばれる日がきたとしても、瑠衣の存在が消えるわけじゃない。瑠衣はずっとそばにいて、思い出もルカの心にずっと残っていく。新しい喜びが増えていくだけ。ルカがそう理解できる日が来たとき、3人の関係はまたひとつの転換期を迎えるのかもしれない。
まっつ