誤解しやすい!?「フライ・バイ・ワイヤ」 ヒモはあるようで無い? というか、何で「飛ぶ」なの?
航空機に由来する技術なので「フライ」
航空機に始まった「操作系の電子化・電動化」は、四輪車に広まり、最近では二輪においても当たり前となりつつあります。 【画像5点】ホンダではF1の技術をベースに1995年型NSXに「ドライブ・バイ・ワイヤ」を導入 航空機由来の技術(*)であることからFly by wire(フライ・バイ・ワイヤ)と表現されることの多いこのシステムは、シンプル言えば「人力によって動かしていた部分をモーターやアクチュエータによる電動化にすること」です。 フライ・バイ・ワイヤの「バイ・ワイヤ」というのは「電線を使う」ということを意味しています。なので、パイロットの操縦(入力)を電気信号に置き換えて機体を制御するというシステムとも言えます。 編集部註:F-16戦闘機や超音速旅客機のコンコルドから実用が始まったと言われる。
「電線」はあるけど、アクセルワイヤー/スロットルワイヤーは無い
バイクではアクセルグリップとスロットルをつなぐケーブル部品を「アクセルワイヤー/スロットルワイヤー」と呼ぶため、わかりづらい面もありますが、アクセルワイヤーは機械的につながっているものであって、電気信号に置き換えてはいません。 つまり、それは「バイ・ワイヤ」ではありません。 あくまでも「バイ・ワイヤ」とは、電気信号が流れる配線を介してコントロールする仕組みを指す言葉であることを改めて頭に入れておきましょう。
四輪・二輪ではドライブ・バイ・ワイヤ、ライド・バイ・ワイヤとも言われるように
さて、こうしたバイ・ワイヤ技術が航空機由来ということに敬意を払ってか、二輪・四輪においても同様の技術については「フライ・バイ・ワイヤ」という言葉が使われていた時代もありました。 しかし、時代が進むにつて「ドライブ・バイ・ワイヤ」や「ライド・バイ・ワイヤ」といった表現を使うことで、どんなモビリティに使われているのかを示すようになりました。 とはいえ、必ずしも「ドライブ・バイ・ワイヤ」という言葉が四輪の運転操作の電子化全般を示すというわけではありません。最近の流れとしては「ドライブ・バイ・ワイヤ」というのは、スロットル系のバイ・ワイヤ化を意味するケースが多くなっています(とくにDBWとアルファベットで表記する場合)。 同じく二輪では、まさにスロットル系のバイ・ワイヤ化ということで「スロットル・バイ・ワイヤ」という表現も用いられています(TBWと略される)。 これは二輪・四輪とも共通のトレンドです。 二輪でいえば右手でアクセルグリップを回転させた量、四輪では右足で踏み込むアクセルペダルの操作量を電気信号に置き換え、それをECUに入力。そこからスロットルバルブを動かすモーター・アクチュエータに信号を送るというのが、DBWの大まかな制御となります。 そこからさらに、四輪では多段ATやCVT(無段変速)のコントロールにもアクセル操作の信号を活用して、エンジン出力と合わせた協調制御をすることも当たり前となっています。 二輪・四輪ともトラクションコントロールや駆動力による姿勢制御が可能となっているのもDBWが普及したおかげといえるでしょう。 最近、二輪でも広まりつつあるACC(追従クルーズコントロール)において、先行車両に合わせて加減速することもDBWありきの制御であることは言うまでもありません。現代のモビリティにおいて、もはやDBWは必須の技術となっているのです。