【大学野球】慶大の4番・清原正吾が開幕戦で決勝打 理想の打者像は「慕っているアニキ」巨人の新リードオフマン
◆東京六大学野球春季リーグ戦第1週第1日▽慶大5―2東大(13日・神宮) 開幕戦は昨秋王者の慶大が東大に先勝した。慶大は、西武、巨人などで活躍した清原和博氏の長男・清原正吾(4年)が初の4番を務め、一塁でフル出場。父が見守る中、3回には中越え先制二塁打を放つ活躍で、白星発進に貢献した。早大は立大に先勝。日大三のエースとして昨年のU18W杯で日本代表にも選ばれた安田虎汰郎(1年)が同点の8回からリーグ戦初登板。早大では07年の斎藤佑樹以来、17年ぶりとなる1年生の春季リーグ初戦勝利投手に輝いた。 春風に乗って、打球は伸びた。清原は全力で一塁を蹴って、二塁に到達した。スコアボードに先制点「1」が刻まれる。三塁ベンチに視線を向けると、最愛の仲間が喜ぶ姿が映った。偉大な父が君臨し続けた、4番の重責を全うした。 「きれいなヒットじゃなくて、泥臭くやってやろうと思っていました」 3回、1死一、三塁の好機。「最低でも犠飛」の意識で打席に向かった。2ストライクからの3球目、低めの123キロカットボールを捉えると、打球はセンターの頭上を越えた。リーグ戦初打点は先制二塁打。打線に火がつき、4回までに5点のリードを奪った。東大の大久保裕監督(66)も「あの一打が効きましたね。試合を左右する一打でした」とたたえた。 はい上がった。昨春の法大戦でリーグ戦初安打を放ったが、その後は不振でBチーム行き。慶大は昨秋のリーグ戦を制し、明治神宮大会でも日本一になったが、清原に出番はなかった。「悔しかったですが、覚悟を決めて始めた野球。絶対トップになろうと、毎日練習していました」。腐らずに取り組む姿を堀井哲也監督(62)は見ていた。「去年の経験が生きている。どんな状況でも練習をやりこんでいた」。好調さを買って開幕4番に起用。朝、清原に伝えた。そんな指揮官への恩義に報いた。 理想の打者像に「(巨人の)萩尾さんです。慕っているアニキ。かっこいいなとリスペクトしています」と寮で同部屋だった先輩の名を挙げた。夢はプロだが、今の心境をこう語った。「この1年、先のことを考えず、後悔なく終えたい。その結果としてそういうレベルになっているならば目指したいが、今はリーグ戦に集中しています。将来のことは考えていない」。まずはリーグ戦制覇。そのために打つ。4番・清原のラストイヤーが幕を開けた。(加藤 弘士) ◆清原 正吾(きよはら・しょうご)2002年8月23日、東京都生まれ。21歳。慶応幼稚舎3年から「オール麻布」で野球を始め、中学ではバレーボール部、慶応高ではアメフト部。慶大入学後に野球に再チャレンジ。昨春の法大戦で公式戦初安打。弟の勝児内野手は慶応高の昨夏の甲子園Vメンバー。50メートル走6秒5。遠投100メートル。186センチ、90キロ。右投右打。
報知新聞社