そもそも何者だったの…『呪術廻戦』謎多き存在・天元は結局敵?味方?
■「君達に重要な隠し事をしている。死滅回游の――」何だ!?
天元を謎の存在たらしめている大きな要素のひとつとして、偽夏油こと羂索の台詞「天元(アレ)を信頼した君が悪い 天元は君達に重要な隠し事をしている」が挙げられる。これに続けて「死滅回游の――」と発したところで遮られているのもまた意味深だ。 死滅回游といえば、羂索が日本中で仕掛けた呪術師や受肉した過去の術師達との殺し合いをおこなわせるため、各地に展開した結界を戦場としている。そんな死滅回游に関して、天元が何かしらかかわっているのではないか、と仕掛けた当人である羂索が話そうとしたわけだ。 九十九たちは、羂索の“天元を掌握して人類と同化させる”という目論見を阻止するために戦闘をおこなっており、天元自身も結界術を駆使して味方していたはずなのだが、隠し事などされていては完全に味方とは言い切れない部分が出てくる。 ここで考えられるのが「浄界」だ。これは呪霊抑制と呪術師の補助監督が張る結界の底上げのため、天元が日本各地に張った通常の結界よりも優れた結界を指すもの。死滅回游は、この浄界をベースにして作ったのだという。 羂索はこれに続けて、渋谷事変後に天元が浄界を解放すれば、死滅回游は成り立たなくなりこれまでの計画も破算になったと話している。しかし、仮に実行すれば、先述した呪霊抑制や結界の効果まで消えるため、結果として多くの人々が死にかねない。 こうした事実を、はるか昔からの知己らしき羂索こそ知っていたものの、天元は虎杖ら主人公サイドには伝えていなかったと考えられる。虎杖らがそのまま勝てば、浄界を破壊せずとも多くの人が死なずに済むからだろう。 確かに重要な情報ではあるが、天元の胸の内がこの予測通りだったなら、敵とは言い切れない。虎杖らを信じていたからなのか、それとも進化して呪霊に近い存在になっていたからなのか、それは定かではないが。
■羂索を「あの子」呼ばわり…師匠なのか?友達だったのか?
天元に対し懐疑的な発言をしていた羂索だが、この二人の関係性は相当前からあり、しかも近しい仲であったこともわかっている。 第17巻第145話にて九十九らに羂索の目的を語り出した時、天元は「あの子の目的は~」と発言している。これは普通、目上の人間や上司などが年の離れた人に対して使う呼び方に思えるが、羂索と天元の間にもそれらしい間柄が存在しているのがうかがえる。 先に触れたとおり、天元は少なくとも1500年以上生きている可能性が高く、平安時代を生きた羂索や宿儺らよりもかなり年上になる。こうした年齢を踏まえると、「あの子」呼ばわりも分からないでもないだろう。 そして、「羂索は私に次ぐ結界術の使い手」とも話しており、術師としての力量も深いところまで知っている可能性が高い。 加えて、羂索が九十九らを撃破した後、天元を手中に収めんとしていた時には羂索の方から「さらば 友よ」と発言。羂索目線では、天元は友人ポジションだったのだ。 天元は「あの子」呼ばわり、羂索は友人として認知しているというちょっとしたすれ違いこそあるものの、策謀に優れる羂索自身の方から友と呼ばれているため、本当に友人だった、あるいは天元が師匠となって羂索に結界術を教えていた可能性もあるかもしれない。 結局最後まで詳しい関係性は明かされなかったが、昔は術師としての仲もよかったのだろうか? 数々の伏線や謎が未回収のまま残されている『呪術廻戦』だが、日本の呪術界の基底とも言える存在と全ての黒幕の関係性ともなれば、気になるのは当然ではないだろうか? 今後、原作者から謎が明かされることがあるとするなら、その日も楽しみにしたいところだ。
レールガン