「首都封鎖よりマスク配布を」 台湾を例に専門家が提言
東京都の小池百合子知事が、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため都民に対し週末に「不要不急の外出」を控えるよう要請した。今後の感染状況によっては「都市の封鎖など、強力な措置を取らざるを得ない状況が出てくる可能性がある」としているが、専門家からは「都民が何よりも必要としているマスク。首都封鎖より、都がマスクを買い上げて人々に配った方が都民の安心につながるのではないか」との指摘が出ている。
都の感染者、増加の一途
東京都では25~27日、3日間続けて感染者数が40人台となり、28、29日は2日続けて60人以上の感染が確認された。小池知事は25日、「感染爆発の重大局面だ」として今週末(28、29日)の不要不急の外出を控えるよう都民に呼び掛けた。さらに、27日の会見では「改正新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言に値すると思っているか」との質問に対し、「まさにぎりぎりのところ」と述べ、国による緊急事態宣言や、世界の都市で実施しているいわゆるロックダウン(都市封鎖)を視野に入れていることをにじませた。
識者「マスクの供給を」
この事態に対し、全国的に不足が続いているマスクの供給を優先すべき、と話すのは、元都庁職員で、行政学者の佐々木信夫・中央大名誉教授だ。 「(咳エチケットなどで)マスクの着用を呼び掛けながら、住民には供給されていない。一般の生活者である都民が困っているのは、何軒の店を回ってもマスクが手に入らないこと。ドラッグストアに毎朝、50~100人もの購入希望者が列をなす風景がもう1か月以上続いている。この問題は、市区町村では単位が小さいので都道府県の仕事だ。なぜ放置しているのか」 ただ、複数の製造元がいざ大量に作り始めると、感染が沈静化した後にマスクが供給過多となり、価格が暴落する恐れがあり、そのことが大量生産を踏みとどまらせる一因になるとも指摘する。そのような事態を回避するためには、「都が一括で買い上げる」と呼び掛け、安心させることが必要だという。「自治体が業者と提携して、就業保証して大量供給する。こういうところにこそ緊急でお金を出せばいい」と提言する。