USスチール買収計画、米議会労組支持派がバイデン氏に阻止要請
(ブルームバーグ): 労働組合を支持する米議会会派はバイデン大統領に対し、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を「明確に拒否」するよう求めている。買収によって米鉄鋼生産の存続が脅かされるという深刻な懸念が生じると主張する。
同会派の書簡を受け、発表から1年となる買収計画の阻止をバイデン氏に求める圧力がさらに強まった。ブルームバーグ・ニュースが確認した17日付の書簡には、民主党のカプター下院議員(オハイオ州)やデルジオ下院議員(ペンシルベニア州)ら29人が署名。この書簡は、歴史的に民主党と密接な関係がある労働運動全体に広がる懸念を反映するものだ。
141億ドル(現在のレートで約2兆1600億円)規模の買収計画について、バイデン氏は国家安全保障上の理由で正式に阻止する方針だと、ブルームバーグ・ニュースが先週、事情に詳しい複数の関係者の話として伝えた。
買収案の審査を進めてきた対米外国投資委員会(CFIUS)は22日または23日までにバイデン氏に結果を伝える必要がある。同氏は自身が労働運動の支持者だと公言しており、長年にわたって労組指導部や組合員の支持を求めてきた。
同会派は書簡で「CFIUS審査を巡り、日鉄は発表文や発言を通じて米鉄鋼製造に対する数十億ドル規模の投資を表明する一方、関連する雇用の米国外移管はないと保証しているが、自らの言葉に責任を持たせる強制力のある約束を書面で示すには至っていない」と指摘。「CFIUSの3回目となる90日間審査期間が終了する2024年12月22日までに、この合併を明確に拒否するよう求める」と記した。
もっともバイデン氏支持者は買収計画について一枚岩ではない。有力な民主党黒人議員3人は12日付の書簡で買収支持を表明。鉄鋼業界に投資するという日鉄の約束は複数の製造業セクターにとって弾みになるとし、「特に黒人とそのコミュニティーが雇用と経済的安定を確保する上で不可欠な役割を果たす」と言及した。